エイチ・エス証券は幹事実績件数だけで見れば、そこまでIPO投資において重要な証券会社ではありません。しかし、資金不要で抽選に参加できる点を考慮すると必須の証券会社となります。
そして、エイチ・エス証券を利用する上で、押さえておきたいのが独自のIPOポイント制度による抽選ルールです。特にエイチ・エス証券で頻繁に取引をする人はしっかりと理解しておいた方が良いでしょう。
そこで今回は、エイチ・エス証券のIPO取引ルール(抽選方法・資金関係)や幹事実績、手数料などを余す事無く紹介していきたいと思います。
なお、以下にエイチ・エス証券のIPOルールなどをまとめていますので、ササッとポイントだけ押さえたいという人は利用してくださいね。
証券会社 | HS証券(エイチ・エス証券) | ||
---|---|---|---|
抽選配分 | 10% | 抽選時資金 | 不要 |
抽選方法 | 完全平等抽選 優待抽選 |
入金時期 | 購入申込時 |
ペナルティ | なし | 資金拘束 | 購入申込時 |
抽選結果 | 当選・補欠・落選 | 同一資金 | – |
発表時間 | 19時以降 | 口座開設数 | 不明 |
主幹事実績 | 2016年 | 2017年 | 2018年 |
0件 | 0件 | 0件 | |
幹事実績 | 7件 | 10件 | 9件 |
売買手数料 (1注文毎) |
10万円 | 20万円 | 30万円 |
134円 | 179円 | 339円 | |
40万円 | 50万円 | 100万円 | |
572円 | 572円 | 1,000円 | |
即時入金 | ゆうちょ銀行・三井住友銀行 他3行 | ||
NISAでIPO | NISA口座・ジュニアNISAで口座共に可能 | ||
コメント | 資金不要で抽選に参加可能!取引実績に応じたIPOポイント制度あり。 |
エイチ・エス証券でIPO投資を始めるにはまず口座を開設する必要があります。口座開設手続き自体は5分程度で完了します。口座開設ページへのリンクを以下に用意しているのでご利用ください。
エイチ・エス証券のIPOルール
では、さっそくエイチ・エス証券のIPO取引ルールについて見ていきましょう。抽選編と資金編に分けて紹介していくので、それぞれチェックしてくださいね。
抽選編
まずはエイチ・エス証券の「抽選ルール」から見ていきます。
抽選方法は「完全平等抽選」と「IPOポイントの優待抽選」を採用
エイチ・エス証券では、「完全平等抽選」と「IPOポイントによる優待抽選」の2つの抽選方法が採用されています。
- 完全平等抽選:抽選参加者全員が同一の当選確率となる抽選方法
- 優待抽選:使用したIPOポイント数に応じて当選確率が変動する抽選方法
まず抽選順序についてですが、完全平等抽選が先に行われます。そして、その抽選において落選した人、かつ優待抽選に申し込んだ人を対象に「優待抽選」が行われます。
先に行われる完全平等抽選では、申込者単位での抽選(1口座1口の抽選)が行われます。保有資産や申込株数などによって当選確率は変動せず、誰もが公平な抽選を受ける事ができます。
その後に行われる優待抽選では、申込口数単位での抽選が行われます。申込口数が多いほど、IPOに当選しやすくなるシステムです。
優待抽選における申込口数は、申込株数ではなく、エイチ・エス証券独自のポイント制度「IPOポイント」の使用分によって決まります。IPOポイントはインターネット取引専用の制度です。
使用したIPOポイントが多いほど、抽選口数が多くなるので、優待抽選でより有利になります。なお、IPOポイントを使用するには、ブックビルディングに申し込んだ上で、ポイントの使用申告を行う必要があります(ログイン後に「マイページ」へアクセスし、「ポイント通帳」からポイントの使用申告を行います)。
IPOポイントは、株式の現物取引や信用取引などの売買手数料や建株金額に応じて付与されます。手数料の付与基準が、売買手数料1,000円ごとにIPOポイント100ptです(月間の手数料合計)。
最後にIPOポイントの注意点をまとめておくのでチェックしておいてくださいね。
- ポイントの有効期限は2年間
- 完全平等抽選で当選した場合、使用したIPOポイントは戻ってくる
- 優待抽選の当落に関係なく、使用したポイントは消滅
ちなみに、SBI証券でもIPO投資について独自のポイント制度が採用されています。エイチ・エス証券のポイント制度よりも優れた内容になっているので、興味のある人は以下の記事もチェックしてみてくださいね。
完全平等抽選の配分割合は10%
エイチ・エス証券では2つの抽選方法が採用されており、そのうちの完全平等抽選の配分割合は、機関投資家を除く個人のお客様への配分予定数量の10%となっています。
一方、IPOポイントによる優待抽選への配分割合についてですが、これは非公開となっています。
エイチ・エス証券が公表している優待抽選の概要には「インターネット部門に割り当てられた配分数量の原則50%以上について優待抽選を行う」と記載されていますが、インターネット部門に割り当てられる配分数が全体の何%なのか?という点が非公開となっています。
“50%”という数字だけを見るとかなり多く感じますが、仮にインターネット部門に割り当てられる配分数が全体の5%しかなければ、その半分の2.5%しか優待抽選で配分されない事になります。
ただ、当選倍率自体は優待抽選の方が低くなっています(当たりやすいってことです)。抽選配分割合が不明なため、「完全平等抽選より当選しやすい」と漠然と把握するしかないですね。
当選するのは1単元~申込株数も100株でOK~
完全平等抽選においても、優待抽選においても当選するのは1単元までとなっています。複数単元が当選する事はありません。
申込株数はどちらの抽選においても当選確率に関係ないので、ブックビルディングに申し込む際は1単元で良いでしょう。
抽選結果は当選・補欠・落選の3パターン~発表時間は19時以降~
エイチ・エス証券では、抽選結果が以下の3パターンになっています。
- 当選(全体抽選-当選・優待抽選-当選)
- 補欠当選
- 落選
当選した場合は、忘れずに購入申込を行いましょう。当選したとしても、購入申込を行わなけれな当選辞退扱いになってしまいます。
一方、補欠当選をした人は、購入申込を行う事によって繰上抽選を受ける事ができます。補欠当選時に繰上抽選を狙うかどうかについては、以下の記事に判断ポイントをまとめているので参考にしてください。
なお、抽選結果が発表されるのは抽選日の19時以降です。
当選辞退に対するペナルティなし
エイチ・エス証券では、当選辞退をしてもペナルティを受ける事はありません。もちろん、購入申込を忘れていた場合も同様です。
当選してから「あれ?この銘柄もしかして公募割れする?」と不安になる事もあると思います。ペナルティが有る証券会社では当選辞退しにくいですが、エイチ・エス証券ではペナルティが無いので、気にせず当選辞退をする事ができます。
なお、当選辞退の取消・訂正はできません。意思決定は慎重に判断するようにしてください。
資金編
では、続いてエイチ・エス証券の資金ルールについて見ていきましょう。
資金不要(0円)で抽選に参加可能
エイチ・エス証券は、資金不要で抽選を受ける事ができます。前受金0円で抽選を受けられるので資金効率は◎。
資金移動の事を考えなくて良く、ただただブックビルディングの申込をすれば良いだけです。
IPO投資においてはかなり魅力的な特徴なので、まだ口座を持っていない人は開設を検討してみましょう。
なお、エイチ・エス証券以外にも資金不要で抽選に参加できる証券会社があります。その特徴を持っている全ての証券会社を以下の記事にまとめているので、是非チェックしておいてくださいね。
入金のタイミングは購入申込時
エイチ・エス証券の入金タイミングは「購入申込時」です。当選した人と補欠当選から繰上当選を狙う人は、購入申込前に入金するようにしましょう。
購入申込期間は数日間しかないので、余裕をもって「入金」と「購入申込」を行うようにしてください。
資金拘束を受けるタイミングも購入申込時
資金拘束を受けるタイミングも「購入申込時」です。
購入申込をした補欠当選者は、繰上抽選の結果が出るまで資金拘束が継続されます。繰上抽選の結果、落選してればその時点で拘束から開放されます。
エイチ・エス証券のIPO主幹事・幹事実績
続いて、エイチ・エス証券のIPO取り扱い件数について見てみましょう。
2016年~2018年における主幹事・幹事実績がこちらです。
2016年 | 2017年 | 2018年 | |
---|---|---|---|
主幹事実績 | 0件 | 0件 | 0件 |
幹事実績 | 7件 | 10件 | 9件 |
IPO全体件数 | 83件 | 90件 | 90件 |
ここ3年間は主幹事実績が0件ですが、もう少し過去に遡ると2012年・2014年・2015年に1回ずつ主幹事を務めています。そのため、今後どこかで主幹事を務める可能性が十分にあるので、マークしておきたい証券会社と言えます。
幹事実績は毎年10件前後です。過去に遡っても同様です。安定して幹事を務める証券会社と言えます。
エイチ・エス証券の手数料
続いて、エイチ・エス証券の「売買手数料」と「入出金手数料」について紹介していきます。
売買手数料
エイチ・エス証券では、現物株式取引の売買手数料プランとして「一般コース」と「ハイパーアクティブコース」の2つのプランが用意されています。
- 一般コース:1注文毎の約定金額に対して手数料が発生
- ハイパーアクティブコース:1日の約定金額合計に対して手数料が発生
それぞれの手数料体系は以下の通りです(2018年12月時点、税抜、ネット取引の場合)。
■一般コース
約定金額 | 売買手数料 |
---|---|
10万円まで | 134円 |
20万円まで | 179円 |
30万円まで | 339円 |
50万円まで | 572円 |
100万円まで | 1,000円 |
150万円まで | 1,143円 |
150万円超 | 1,715円 |
■ハイパーアクティブコース
1日の約定金額合計 | 売買手数料 |
---|---|
300万円以下 | 2,500円 |
600万円以下 | 5,000円 |
900万円以下 | 7,500円 |
1,200万円以下 | 10,000円 |
300万円増加毎に | 2500円加算 |
各証券会社を手数料を基準に「高い・普通・安い」の3段階で区分すると、エイチ・エス証券は「普通」に区分されます(普通の中では高い部類です)。
IPO投資では抽選に参加して当選する事が優先されるので手数料の事をそこまで気にする必要はありませんが、エイチ・エス証券をメイン口座にして各種取引を行う事を考えているのであれば、その他の証券会社と手数料を比較した方が良いでしょう。
なお、コース選択については、IPO投資をメインで利用するなら「一般コース」をオススメします。頻繁に取引をする事はありませんからね。
入出金手数料
次に紹介するのは入出金時の振込手数料についてです(インターネット取引の場合のみ紹介しています)。
まずはエイチ・エス証券の口座への入金方法について見ていきます。入金方法は3つあり、それぞれの振込手数料と反映時間がこちらです。
入金方法 | 手数料 | 反映時間 |
---|---|---|
銀行振込 | 負担 | 1時間~2時間 * 1 |
ネットバンク入金サービス | 無料 | 即時 |
かんたん決済サービス | 無料 | 即時 *2 |
*2 楽天銀行のみが対応。余力に反映されるまでに時間を要する場合があります。
オススメの入金方法は「ネットバンク入金サービス」です。振込手数料が無料で、入金が即時反映、そして手間もかかりません。
ネットバンク入金サービスに対応している金融機関は以下の通りです(ネットバンキングの契約が必要)。
- ゆうちょ銀行
- 三井住友銀行
- 三菱UFJ銀行
- みずほ銀行
- 住信SBIネット銀行
入金手続きをスムーズに行うために、上記いずれかの銀行を利用するようにしましょう。
続いて、エイチ・エス証券から出金する方法について見ていきます。
出金方法は1つで、ネットの取引画面から出金申込を行います。予め指定した金融機関へ振込が行われ、どの金融機関に対しても振込手数料無料で行えます。
出金申込をした時間帯によって、振込日が異なってくるので以下にまとめておきます。
- 15時まで:翌営業日
- 15時以降:翌々営業日
即時出金サービスは無いので、エイチ・エス証券から資金移動を行う際は上記の振込日を念頭に置いて行うようにしましょう。
NISA口座及びジュニアNISA口座からIPOに参加可能
エイチ・エス証券ではNISA口座及びジュニアNISA口座の両方からIPOの抽選に参加できます。
ただ、幹事実績は多くないので、IPO投資のためだけにエイチ・エス証券でNISAを開設するのは勿体ないです。そのため、通常の口座及び未成年口座からIPOの抽選に参加するのが良いと思いますよ。
エイチ・エス証券のIPOルールまとめ
今回はエイチ・エス証券のIPOルールなどについて紹介しました。
IPOポイントによる優待抽選がある点や資金不要で抽選を受けられる点など、特徴的なIPOルールを採用しているエイチ・エス証券。特に資金不要という点は、限られた資金でIPO投資をしている人には嬉しいルールです。
最近は主幹事を務めていませんが、過去にはたくさんの主幹事を務めていた証券会社です。採用しているIPOルールも考慮すると、ほっておけない証券会社と言えるでしょう。
最後にエイチ・エス証券のIPOルールの特徴点をまとめておくのでチェックしておいてくださいね。
- 抽選方法は「完全平等抽選」と「優待抽選」を採用
- 独自のポイント制度「IPOポイント」
- 抽選配分10%
- 入金・拘束のタイミングは共に購入申込時
- 主幹事を務める事もある