IPO投資をしていて「申し込み株数を多くしたら、それだけ当選しやすくなるのかな?」なんて気になったことはありませんか?
結論を先に言うと、申込株数によって当選確率が変動するのは「SBI証券」と「楽天証券」の2社だけです。その他の証券会社では、申込株数が当選確率に影響を及ぼす事はありません。
というのも、SBI証券と楽天証券では「申込株数単位」で抽選が行われ、その他の証券会社では「申込者単位」で抽選が行われるからです。
- 申込株数単位で抽選・・・1単元100株毎に1口の抽選権
- 申込者単位で抽選・・・申込者1人に1口の抽選権
⇒多めに申し込むほど当選確率が高まる!
⇒多めに申し込んでも当選確率は同じ!
さて、ここまでの説明だと、申込株数によって当選確率が変動する「SBI証券」と「楽天証券」がすごくお得な感じを受けますよね。ただ「申込株数」と「当選確率」の関係はそんなに単純な話ではありません。
そこで今回は、「申込株数」と「当選確率」の関係について基本的な事を紹介した後に、さらに一歩踏み込んだ内容についても説明していきたいと思います。ブックビルディングを申し込む際に効率良く資金を集中・分散できるようになっていってくださいね。
「申込株数」単位で抽選するのは「SBI証券」と「楽天証券」だけ
冒頭で、申込株数が多いほど当選確率が上がる証券会社はSBI証券と楽天証券だとお伝えしましたね。事実、2社は自社HPにてその旨を公表しています。
<SBI証券>
抽選にあたっては、抽選対象となる需要申告のお申込み単元毎に番号(乱数)を付し、その番号を対象に抽選を行います。
<楽天証券>
抽選に当たっては、購入のお申込みをなさった株数に応じて抽選番号(乱数)を付し、その番号を対象に抽選を行います。
「単元毎」「株数に応じて」と記載されていますよね。つまり、申し込み株数が多いほど、たくさんの抽選を受けられる事になります。
一方、その他の証券会社では申込者単位、つまり「一人に一口」の抽選権となっています。
例えば、SMBC日興証券の申込株数と抽選との関係に関する記載がこちらです。
同率抽選(*)では、一人のお客様からの申告に対し、機械的に一つの乱数を付番いたします。
* 同一条件・同一確率での抽選を指します。
「申告に対し乱数を付す」とあるので、申込み株数ではなく、申込み者単位で抽選権が付与されることが分かります。
このように、SBI証券・楽天証券以外の証券会社では、申込株数が100株の人も10,000株の人も1口の抽選権となるので当選確率は同じです。しかも当選するのは基本的に100株なので、2単元以上申し込む必要はありません。
申し込み株数を多めにするほど当選確率が高まる理由
さて、話は戻りますが、SBI証券・楽天証券について「なぜ申込株数を多めにするほど当選確率が高まるのか」を単純な具体例を用いて見ていきましょう。
具体例はこちらです(SBI証券又は楽天証券の場合)。
A案:1単元の申込(100株)
B案:10単元の申込(1,000株)
A案とB案ではどちらが当選しやすいと思いますか?
単純に考えればB案の方が当選しやすいですよね。
申込株数単位で抽選が行われるSBI証券及び楽天証券では、単元ごとに抽選権がもらえるので、多めに申し込むほど多くの抽選権が付与されます。上記例では、A案は1回の抽選権しかなく、B案は10回も抽選権があります。単純計算でB案の方が当選確率は10倍高い事になります。
これが「SBI証券及び楽天証券では当選確率が申込み株数に比例して上がる」メカニズムです。
しかし、これはあくまで1人の投資家だけに着目した場合の話です。その他の投資家の事を考慮すると、「申込株数単位での抽選」は「申込者単位での抽選」より当選確率が必ず有利になるわけではありません。
「申込株数」単位での抽選はお金持ちほど有利なセレブルール
SBI証券や楽天証券の抽選ルールを知って「2社に投資資金を集中させてIPOに参加しよう!」と考える人がいるかもしれません。たしかに100株だけ申し込むよりも、資金を集中させて複数単元の申込をした方が当選確率は高まります。
しかし、この申込株数単位での抽選ルールには「資金量の壁」が存在します。つまり、大量の申込を行う投資家によって、当選確率がかなり引き下げられてしまうのです。
では、話を分かりやすくするために、当選本数1本の抽選に10人が参加した場合を例にして説明してみます(登場人物Cさんをご自身に置き換えて考えてみてくださいね)。
Cさんが2口、誰かが90口、その他の8人が1口ずつの申込をしたとします。この時のCさんの当選確率は、全体の100口のうちCさんの口数が2口なので2分の100(2%)となります。
これが仮に申込者単位での抽選であれば、10人のうち1人が当選するので資金量に関係なく当選確率は10%となります。
このように、少額しか資金を用意できない人にとっては、SBI証券と楽天証券の抽選ルールは厳しいものになります。逆に言えば、お金持ちほど当たりやすい、いわば「セレブルール」なんです。
【目安】当選するための資金はどれくらい必要?
では、いくら資金を用意すれば高確率でIPOに当選するのでしょうか?ここは気になるところですよね。実際に、YAHOO知恵袋などのQAサイトには「〇〇万円を用意するつもりですが、SBI証券で当選しますか?」なんて質問がけっこう見受けられます。
この疑問についての答えは無いに等しいですが、これまでのIPO投資の経験からすると少なくとも5千万円、もしかしたら1億円くらい無いとSBI証券等で頻繁に当選するのは難しいかなと思います。
現実的に考えて、用意できる資金が10単元とかそれくらいなのであれば、SBI証券や楽天証券に資金を集中させない方が良いと思います。特にSBI証券は、IPOチャレンジポイント狙いで1単元だけ申し込み、ポイントを貯める事に専念するのも一つの手段だと思いますよ。
【参考】SBI証券及び楽天証券の申込株数の上限は?
SBI証券と楽天証券の申込株数の上限はそれぞれ以下の通りです。
- SBI証券・・・公募・売出し株数の合計(オーバーアロットメント分は含まず)
- 楽天証券・・・銘柄によって異なる
SBI証券については、一般的な個人投資家からすれば上限など無いようなものです。
一方、楽天証券は銘柄によって上限が異なるので、各銘柄の詳細ページ又はブックビルディング画面にて「申込上限株数」の欄をチェックするようにしましょう。SBI証券のような有って無いような上限設定ではなく、現実的な株数を設定しているので、多くの人が上限まで申し込めると思います。
ただ、楽天証券は最近”上限株数が100株”となっている事が多いので、セレブルールは適用されない場合が多いです。
資金が限られている人は他の証券会社からも申込を!
ここまで紹介したように、申込株数単位での抽選はお得なように見えて、資金が限られている人にはむしろ厳しいルールと言えます。ここで言う”資金が限られている人”とは、投資資金が数百万円の人も含みます。
そのため、他の証券会社からもIPOの申込をする事をオススメします。そして、残った資金で申込可能な株数分をSBI証券・楽天証券から申し込むと良いでしょう。
後期型の証券会社や資金不要でブックビルディングに参加できる証券会社をうまく利用すれば、資金効率を上げる事ができます。そうすれば、SBI証券や楽天証券に回す資金を増やす事ができ、個人としての当選確率を最大限に高められます。
まとめ~申込株数と当選確率が関係あるのは「SBI証券」と「楽天証券」だけ!~
今回は「申込株数」と「当選確率」の関係について紹介しました。その関係を紐解く鍵は「抽選ルール」にありましたね。申込株数単位で抽選を行うのか、それとも申込者単位で抽選を行うのか、というルールです。
そして、申込株数が当選確率に影響する場合は「申込株数単位」の場合です。このルールを採用しているのは、SBI証券と楽天証券の2社だけ。
そのため、ブックビルディングに参加する際に「何株申し込もうか?」と考えるのはこの2社だけとなります。他はノータイムで100株でOKです。
ただし、申込株数単位での抽選の実態は、お金持ち向けのルールです。少額投資家にとっては厳しいルールとなっています。
したがって、資金力に余裕がある場合以外は、他の証券会社との併用を基本においてIPO投資を行うことをオススメします。
資金の集中と分散をバランスよく行って、効率よくIPOの当選を狙っていきしょう!