同時期に複数のIPOが集中する事ってよく有りますよね。その時、限られた投資資金でなるべく効率よくブックビルディングに申し込むために、「こっちとあっちの証券会社から申し込もうか、それともこっちとそっちの証券会社から申し込もうか・・・」といった感じで、四苦八苦しながらIPO投資のプランニングを立てているのではないでしょうか?
「マネックス証券とSMBC日興証券・・・この2社まじでキツいんですけど・・・」
これ、IPO投資のプランニングアルアルだと思います。
少し説明を加えると、この2つの証券会社はブックビルディングの申込時に資金の拘束を受けます。しかも、同じタイミングでブックビルディングが開始される複数銘柄の幹事を務める事も多く、この2社だけで100万円~200万円の資金が必要になる事もあるためです。
その一方で、資金拘束を受けるタイミングが抽選後という証券会社もあり、同一資金で複数のIPOに申し込める事もあります。たとえば、みずほ証券がこのパターンに該当します。
このように、IPO投資のプランニングにおいて「資金拘束のタイミング」は重要なキーワードになってきます。ただ証券会社によってそのタイミングが異なるので、1社1社覚えておくのも大変です。「SBI証券 資金拘束」などのように証券会社毎に調べるのも面倒くさいですよね。
そこで今回は、各証券会社の資金拘束のタイミングを一覧表にしてまとめて紹介します。入金のタイミングや資金解放のタイミングも併せて紹介するので是非参考にしてください。
また、同一資金で複数のIPOに申し込める証券会社は、資金効率UPに欠かせない存在なので、こちらもチェックしておいてくださいね。
【一覧表】IPOの資金拘束のタイミング
ではさっそく各証券会社のIPOでの資金拘束のタイミングを一覧表で見ていきましょう(最終更新日:2018年9月27日)。
さて、資金拘束のタイミングは証券会社によって異なるわけですが、パターンとしては以下の4つに大別できます。
- ブックビルディング(需要申告)を行う時
- 抽選が実施される時
- 当選が確定した時
- 購入申込を行う時
それぞれのタイミングについてもう少し詳しく知りたい人もいると思うので、以下で1つずつ見ていきますね。
なお、入金のタイミングについては以下の記事で詳しく解説しているので参考にしてください。
【資金拘束のパターン1】ブックビルディング(需要申告)を行う時
1つ目のパターンが「ブックビルディングを行う時」です。申込と同時に資金の拘束を受けます。
そのため、このパターンを採用している証券会社から複数の銘柄に申し込む際には、それぞれの銘柄において必要な資金(仮条件の上限×100株)の合計額を用意する必要があります。
たとえば、A銘柄(必要資金20万円)とB銘柄(必要資金30万円)に申し込む場合には、必要資金の合計額50万円を用意しないと2つの銘柄に申し込む事ができません。仮に口座に20万円しか無い場合は、A銘柄に申し込んだ時点で資金が拘束され買付余力が0円になり、B銘柄に申し込もうとしても余力不足により申込不可となります。
このパターンを採用している証券会社は以下の通りです。
- マネックス証券
- SMBC日興証券
- 東洋証券
【資金拘束のパターン2】抽選が実施される時
2つ目のパターンが「抽選の実施時点」です。さきほどのパターンより資金拘束のタイミングが後ろにズレたパターンとなります。
このパターンを採用している証券会社は以下の通りです。
- 三菱UFJモルガン・スタンレー証券
- 東海東京証券
- 丸三証券
ブックビルディングの申込時点で資金拘束を受けないので、同一資金で複数の銘柄のブックビルディングに参加する事ができる資金拘束のタイミングなのですが、三菱UFJモルガン・スタンレー証券だけはシステム上出来ないようになっています。
その他の2社は同一資金での複数申込が可能。ただ注意点もあるので、後述する内容を確認しておいてくださいね。
【資金拘束のパターン3】当選が確定した時
3つ目のパターンが「当選が確定した時点」です。さきほどの「抽選実施時」と似たようなタイミングですが、抽選後に当選者のみが資金の拘束を受ける点で大きく異なります。銘柄・証券会社によっては、抽選日と1日程度ズレが生じる事もあります。
このパターンを採用している証券会社は以下の通りです。
- SBI証券
- 立花証券
同一資金で複数の銘柄のブックビルディングに参加する事ができるので要チェックの証券会社です。ただパターン2と同じように、後述する注意点は必ず確認しておいてくださいね。
【資金拘束のパターン4】購入申込を行う時
4つ目のパターンが「購入申込を行う時」です。当選して購入申込を行ったタイミングで資金の拘束を受けます。拘束の程度としては一番ユルいパターンですね。
このパターンの証券会社は、同一資金で複数の銘柄に申し込む事が可能です。
このパターンを採用している証券会社は以下の通りです。
- みずほ証券
- 大和証券
- 野村證券(資金不要)
- 松井証券(資金不要)
- エイチ・エス証券(資金不要)
- むさし証券(資金不要)
- 岡三オンライン証券(資金不要)
- いちよし証券(資金不要)
- SBIネオトレード証券(資金不要)
なお、資金不要の証券会社は後述する「同一資金で複数銘柄に申し込める証券会社」には登場しません(抽選に参加する為の資金が要りませんからね)。ただ、これらの証券会社も複数銘柄への申込は当然可能です。資金の事を考えなくて良いのは非常にラクですね。
後期型の証券会社の場合
さて、最後に申込手順が異なる後期型の証券会社について紹介します。後期型の証券会社とは、抽選前に「ブックビルディングの申込」と「購入申込」を先に行う証券会社の事です。
後期型の証券会社の資金拘束のタイミングは「購入申込をした時点」です(GMOクリック証券だけは購入申込期間の最終日)。
後期型の証券会社は以下の通りです。
- 岩井コスモ証券
- カブドットコム証券
- 楽天証券
- GMOクリック証券
GMOクリック証券以外の証券会社では資金拘束のタイミングを利用して資金効率を上げる事はできませんが、抽選日のズレを利用して資金効率を上げる事ができます。詳しくは以下の記事にまとめているので、是非参考にしてくださいね。
資金効率UP!同一資金で複数のIPOに申し込める証券会社
資金拘束のタイミングが「パターン①:ブックビルディング時」以外の証券会社では、ブックビルディングの申込をしても資金拘束を受けない(=買付余力が減らない)ので、同一資金で複数銘柄のブックビルディングに参加する事ができます。
複数銘柄分の資金を入金する必要が無いので、資金効率をグッとUPさせる事ができます。
たとえば、A銘柄(必要資金20万円)とB銘柄(必要資金30万円)の銘柄があった場合、B銘柄の申込に必要な30万円を口座に入金すれば、その資金でA銘柄にも申込ができます(50万円を入金する必要はありません)。
つまり、必要資金が最大である銘柄の分だけ入金しておけば、その他の銘柄へも申し込めるわけです。同時に申し込む銘柄数が3銘柄、4銘柄・・・と増えても考え方は同じです。
このように同一資金で複数銘柄に申し込める証券会社をもう一度以下にまとめておきます。
少ない資金でIPO投資をしている人は、なるべく多くの抽選を受けられるように、これらの証券会社を利用していきましょう。
ただし、みずほ証券と大和証券以外の証券会社では、同一資金で申し込む銘柄の抽選日が同日となる場合は注意が必要です。以下で詳しく見ていくので確認しておいてくださいね。
抽選日が同一日となる場合は注意が必要!
複数の銘柄に同一資金で申し込む場合、抽選日が同一日であれば抽選対象外となる、又はその可能性があるので注意が必要です。
注意が必要な証券会社は、資金拘束のタイミングが「抽選実施時」及び「当選確定時」の証券会社です。
具体例を挙げて説明していきますね。
たとえば、資金40万円で以下の3つの銘柄を申し込んだとします(もちろん抽選日は同日、抽選順序はA⇒B⇒C)。
A銘柄:必要資金40万円
B銘柄:必要資金30万円
C銘柄:必要資金25万円
■資金拘束のタイミングが「抽選実施時」の場合(該当する証券会社:東海東京証券・丸三証券・GMOクリック証券)
A銘柄の抽選を実施する時点で当落に関係なく40万円の資金が拘束されます。すると、買付余力は40円が差し引かれて0円に。残りのB銘柄とC銘柄は余力不足により抽選対象外となってしまいます。
■資金拘束のタイミングが「当選確定時」の場合(該当する証券会社:SBI証券・立花証券)
SBI証券では、当選(補欠当選)で資金拘束を受けるので、当選(補欠当選)しない限り、全ての銘柄で抽選を受ける事が出来ます。しかし、抽選順序が先の銘柄が当選するとその時点から資金拘束を受けるので、残りの銘柄は余力不足により抽選対象外になってしまいます。
上記の事例でいうと、2番目に抽選が実施されるB銘柄が当選した場合では、1番目に抽選が実施されるA銘柄は抽選対象ですが、3番目に抽選が実施されるC銘柄は抽選対象外になります。
一方、立花証券では、資金拘束とは関係なく最も売出価格が高い銘柄しか抽選を受ける事ができません。上記の事例でいうと、売出価格が40万円のA銘柄のみが抽選対象となり、その他の銘柄はA銘柄の当落に関係なく抽選対象外となります。
このように抽選日が同一日である場合は、同一資金での申込が意味を成さない事になる、又はその可能性があるので注意してください。申し込む全ての銘柄が抽選対象となるように、必要資金の合計額を準備するようにしましょう。
資金拘束が解放されるのはいつ?
「資金が拘束されるタイミングは分かったけど、いつ解放されるの?」
「解放のタイミングが分からないと、資金移動の目処がたたないよー」
ここは気になるところですよね。結論からいうと、基本的には落選したら資金は即解放されます(一部の証券会社では翌日)。
そのため、IPOが集中する時期だと、抽選結果が分かり次第、資金移動に取り掛かれます。
ただ気になるのは以下のような特殊な場合です。
- 補欠当選をした場合
- 当選したけど購入辞退する場合
そこで、それぞれの場合の資金拘束が解放されるタイミングについて見ていきましょう。
補欠当選した場合
IPOの抽選に補欠当選した場合は、繰上当選を狙って「購入申込」をするか、それを諦めて「購入辞退」をするか、どちらかを選択する事になります。
繰上当選を狙う場合は、資金拘束が継続されるか、又は購入申込時点から資金拘束を受けます。そして、繰上抽選に落選した時点で資金拘束から解放されます。タイミングとしては購入申込期間の最終日の夕方ごろです。
一方、繰上当選を狙わない場合は注意が必要です。というのも、購入辞退の手続きをしなければ、購入申込期間最終日まで資金拘束が継続されてしまう証券会社があるからです。
- マネックス証券
- 東海東京証券
- 丸三証券
- SBI証券
- 立花証券
これらの証券会社では、忘れずに購入辞退の意思表示を行うようにしましょう。なお、購入辞退を表明すれば、すぐに資金拘束は解放されます。
当選したけど購入辞退する場合
この場合は至って単純で、当選辞退をすれば資金拘束からすぐに解放されます。
ただし、証券会社の中には当選辞退に対してペナルティを課す証券会社もあるので、当選辞退を検討する際は注意してください。
まとめ~証券会社ごとにちがう資金拘束のタイミングを利用して、資金移動を効率的に行おう!~
今回は「資金拘束のタイミング」について紹介しました。証券会社によって、そのタイミングが異なるのは少しやっかいな面がありますが、逆にその違いをうまく利用すれば、資金効率を上げる事ができます。
特に資金拘束ルールは限られた資金でIPO投資をしている人にとって必要不可欠な知識です。なるべく多くの抽選に参加できれば、その分当選するチャンスが増えますからね。
IPO投資のプランニングをする際は、この資金拘束ルールも含めて検討してくださいね。