業種別のIPO初値結果~人気業種は「情報・通信業」~

業種別のIPO結果

突然ですが、「業種」を基準にIPO銘柄を分析すると、興味深い結果を得る事ができます。

どの業種のIPOが人気なのか、逆にどの業種のIPOが不人気なのか、という事が浮き彫りになります。

業種とは
証券コード協議会が各企業の事業内容から業種別分類項目のどの分類に該当するかを定めたもの。業種別分類項目は10の大分類の下に33の中分類があり、業種はこの中分類の中から選ばれます(例:情報・通信業、不動産業など)。

ちなみに、東京証券取引所ではこの業種を用いて業種別株価指数等を公表しているので、「東証33業種」などと呼ばれる事があります。

業種一覧はこちら(証券コード協議会)

そこで今回は、業種別にIPOの初値結果をデータ化していきます。今後のIPO投資の参考にしてくださいね

なお、近年のトレンドを把握しやすいように、直近3年間(2016年~2018年)のIPOをサンプルとして利用しています。

業種別のIPO勝率及び初値結果

以下の表は、2016年~2018年のIPO263件を業種別に分類し、それぞれの業種の「IPO件数」「勝率」「平均初値騰落率」を表したものです。

業種件数勝率騰落率
サービス業77件89.6%
(8件)
92.35%
情報・通信業74件93.2%
(5件)
158.89%
小売業21件76.2%
(5件)
67.21%
不動産業20件100%
(0件)
72.26%
卸売業15件86.7%
(2件)
80.32%
建設業7件85.7%
(1件)
41.11%
その他製品7件100%
(0件)
50.75%
その他金融業7件71.4%
(2件)
42.25%
電気機器5件80.0%
(1件)
94.47%
化学4件50%
(2件)
16.91%
機械4件75%
(1件)
31.11%
繊維製品3件66.7%
(1件)
17.49%
保険業3件66.7%
(0件)
27.88%
食料品2件100%
(0件)
26.81%
医薬品2件50%
(1件)
9.21%
金属製品2件50%
(1件)
163.64%
証券商品先物2件0%
(1件)
-2.07%
陸運業2件100%
(0件)
18.26%
鉄鋼1件100%
(0件)
19.69%
非鉄金属1件100%
(0件)
89.17%
精密機器1件0%
(1件)
-7.14%
銀行業1件100%
(0件)
6.38%
倉庫運輸関連1件100%
(0件)
220.80%
電気・ガス業1件100%
(0件)
50.00%
勝率は「初値>公募価格」となった件数の割合を表しています。
勝率欄の()内の数字は公募割れとなったIPOの件数を表しています。
騰落率は初値騰落率の平均値を表しています。
以下の年別の表も同様です。

続いて、年単位のデータについて見ておきましょう。

2018年のデータ

2018年のIPO90件の業種別のデータがこちらです。

業種件数勝率騰落率
サービス業29件93.1%
(2件)
103.77%
情報・通信業27件92.6%
(2件)
162.67%
不動産業9件100%
(0件)
80.33%
卸売業5件100%
(0件)
57.36%
小売業4件75%
(1件)
54.45%
建設業3件100%
(0件)
27.40%
保険業3件66.7%
(0件)
27.88%
金属製品2件50%
(1件)
163.64%
機械2件50%
(1件)
27.55%
その他製品2件100%
(0件)
33.67%
繊維製品1件0%
(1件)
-5.00%
医薬品1件0%
(1件)
-8.07%
鉄鋼1件100%
(0件)
19.69%
その他金融業1件100%
(0件)
189.77%

【2018年】IPOの初値結果一覧~初値・騰落率・損益まとめ~

2019.01.31

2017年のデータ

2017年のIPO90件の業種別のデータがこちらです。

業種件数勝率騰落率
サービス業24件95.8%
(1件)
111.51%
情報・通信業23件95.7%
(1件)
173.14%
小売業9件77.8%
(2件)
111.72%
卸売業7件85.7%
(1件)
113.78%
不動産業6件100%
(0件)
62.38%
電気機器4件100%
(0件)
94.93%
その他製品4件100%
(0件)
71.81%
化学3件66.7%
(1件)
24.33%
その他金融業3件33.3%
(2件)
-1.31%
建設業1件100%
(0件)
4.00%
繊維製品1件100%
(0件)
46.15%
医薬品1件100%
(0件)
26.49%
機械1件100%
(0件)
66.85%
陸運業1件100%
(0件)
17.28%
倉庫運輸関連1件100%
(0件)
220.80%
電気・ガス業1件100%
(0件)
50.00%

【2017年】IPOの初値結果一覧~初値・騰落率・損益まとめ~

2019.01.31

2016年のデータ

2016年のIPO83件の業種別のデータがこちらです。

業種件数勝率騰落率
情報・通信業24件91.7%
(2件)
140.98%
サービス業24件79.2%
(5件)
59.38%
小売業8件75.0%
(2件)
23.52%
不動産業5件100%
(0件)
69.59%
建設業3件66.7%
(1件)
67.19%
卸売業3件66.7%
(1件)
40.53%
その他金融業3件100%
(0件)
36.63%
食料品2件100%
(0件)
26.81%
証券商品先物2件0%
(1件)
-2.07%
繊維製品1件100%
(0件)
11.32%
化学1件0%
(1件)
-5.36%
非鉄金属1件100%
(0件)
89.17%
機械1件0%
(1件)
2.50%
電気機器1件0%
(1件)
-17.33%
精密機器1件0%
(1件)
-7.14%
その他製品1件100%
(0件)
0.68%
銀行業1件100%
(0件)
6.38%
陸運業1件100%
(0件)
19.23%

【2016年】IPOの初値結果一覧~初値・騰落率・損益まとめ~

2019.01.31

まとめ~トレンドワードは?~

業種別に2016年~2018年のIPO初値結果などを見てきました。

人気が高かった業種は「情報・通信業」です。ここ3年間の勝率は93.2%、平均初値騰落率も158.89%と抜群のパフォーマンスを見せています。

特に「人工知能(AI)」「人工知覚」「クラウド」「Iot」「ネットセキュリティ」などを事業内容とするIPO銘柄には人気が集まりました。たとえば、2018年4月20日に上場した「人工知能(AI)」を事業テーマとしていたHEROZは、初値騰落率が988.89%にもなりました。

2019年もこうした事業を手掛けるIPO銘柄が引き続きトレンドとなっていくでしょう。

逆に、不人気となった業種は「建設業」や繊維製品・化学・機械などの「製造関連」銀行業・保険業などの「金融関連」です。勝率も初値騰落率も芳しくない結果となっています。

このように、業種がIPOの人気・不人気の分かれ目となる傾向があるので、今後IPO銘柄を分析する際は業種にも注目してみてくださいね。

なお、情報・通信業以外にもトレンド事業を手掛けている銘柄もありますし、また独自の技術・商品を有した銘柄には人気が集まりやすい傾向があります。そのため、業種だけで判断するのではなく、一歩踏み込んで事業・サービス内容もチェックするようにしてください。

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