IPOを分析する際に、全体を俯瞰する意味で「件数」と「勝率」を把握しておきたい人もいますよね。
「年間に何件のIPOがあったのか」
「勝率はどれくらいあったのか」
「それぞれの推移はどうなっているのか」
気になると言えば、気になるデータです。
そこで今回は、2007年以降のIPOの「件数」と「勝率」についてまとめてみました。なお、月毎のIPO件数についても、(直近3年間のデータですが)まとめているので参考にしてください。
【IPOの件数】2007年~2018年の推移
ではまず2007年~2018年のIPO件数について見ていきます。
年 | 件数 |
---|---|
2018年 | 90件 |
2017年 | 90件 |
2016年 | 83件 |
2015年 | 92件 |
2014年 | 77件 |
2013年 | 54件 |
2012年 | 46件 |
2011年 | 36件 |
2010年 | 22件 |
2009年 | 19件 |
2008年 | 49件 |
2007年 | 121件 |
リーマンショックの影響で2008年にIPOの件数が急激に減少。そこから数年間停滞期間が続き、2012年頃から徐々にIPOに活気が戻ってきます。そして、直近5年間は概ね80件~90件で推移する状況が続いています。
【参考】月別のIPO件数
2016年~2018年における月別のIPO件数を参考までに紹介しておきます。
月 | 2016年 | 2017年 | 2018年 |
---|---|---|---|
1月 | 0件 | 1件 | 0件 |
2月 | 1件 | 5件 | 2件 |
3月 | 22件 | 21件 | 14件 |
4月 | 5件 | 5件 | 8件 |
5月 | 0件 | 0件 | 1件 |
6月 | 12件 | 7件 | 11件 |
7月 | 5件 | 4件 | 9件 |
8月 | 1件 | 3件 | 3件 |
9月 | 10件 | 9件 | 12件 |
10月 | 6件 | 7件 | 9件 |
11月 | 7件 | 6件 | 2件 |
12月 | 14件 | 22件 | 19件 |
月毎にIPO件数を見ていくと、IPOが多い月と少ない月がはっきりと分かりますね。
IPOが少ない月:1月・2月・5月
特に3月と12月は例年IPOが集中する時期なので、証券会社の口座開設や資金の準備などを前もってやっておいた方が良いでしょう。
【IPOの勝率】2007年~2018年の推移
続いて、2007年~2018年のIPOの勝率について見ていきましょう。なお、「初値>公募価格」を”勝ち”とし、年間のIPO件数に対して”勝ち”となった銘柄の割合を勝率として表しています。
年 | 勝敗 | 勝率 |
---|---|---|
2018年 | 80勝9敗1分 | 88.9% |
2017年 | 82勝8敗 | 91.1% |
2016年 | 67勝15敗1分 | 80.7% |
2015年 | 82勝8敗2分 | 89.1% |
2014年 | 59勝15敗3分 | 76.6% |
2013年 | 52勝1敗1分 | 96.3% |
2012年 | 37勝9敗 | 80.4% |
2011年 | 19勝14敗3分 | 52.7% |
2010年 | 10勝9敗3分 | 45.4% |
2009年 | 13勝4敗2分 | 68.4% |
2008年 | 20勝26敗3分 | 40.8% |
2007年 | 89勝29敗3分 | 73.5% |
IPOの勝率も「IPOの件数」と同じようなグラフを描いています。金融市場が悪化している時は勝率が低く、好調な時は勝率が高くなっています。
IPO件数と関連付けるなら、件数が少ない時には勝率が低く、件数が多い時には勝率が高いと言えるでしょうか。
IPOが好調な時期にIPO投資を始めた人は、上記のようにIPOの勝率が低い時期があったという事、そしてそういった時期がまた訪れる可能性が有る事を覚えておいてくださいね。
まとめ~2019年の動向は?~
IPOの件数と勝率について、2007年~2018年までの推移を見てきました。
端的に言えば、どちらも景気にリンクして推移しています。不景気の時は件数も勝率も低く、好景気の時は高くなっています。過去のデータではありますが、何かしらの参考にしてください。
そして、気になるのが2019年のIPOの動向です。
まずプラス要素を挙げると、当記事の執筆時点(2019年1月28日時点)で既に5銘柄の上場承認が発表されている点です。また、初値がプラスリターンとなりそうな銘柄も多いです。2019年の滑り出しとしては良いスタートを切れそうな予感がします。
そのため、近年のIPO活況の流れも引き継いで、2019年のIPOも活況が継続すると予想しています(それ以外の根拠はほぼありませんが)。件数としては90件前後となるでしょうか。
しかし、マイナス要素もいくつかあります。列挙すると「米中の貿易摩擦(休戦中ですが・・・)」や「イギリスのEU離脱の行方」などです。日本国内では「消費増税の影響」です。これらがトリガーとなって、IPOに悪影響を及ぼす事は十分に考えられます。
不安を煽りすぎるのは良くない事ですが、世界経済・日本経済に注視しながら2019年のIPO投資を行っていきましょう。