株価暴落の原因!?IPOのロックアップとは?解除される期間・条件や対象株主は必ずチェック!

投資と書かれたキーホルダーと鍵

IPOに投資するにあたって、理解しておかなければならない用語の1つが「ロックアップ」です。抽選に参加する人にも、上場後に購入する人にも重要なワードです。

というのも、ロックアップは上場時において初値の高騰を抑制する要因になり、上場後には株価を下げる要因となるからです。そのため、チェックしておかなければ、思わぬ大損を被る可能性があります。

そこで今回は、「そもそもロックアップって何なのか」という基本的事項やロックアップが解除される期間・条件、そしてロックアップが株価に与える影響などについて紹介します。

なお、既に上場したIPO銘柄のロックアップ期間等の一覧情報が知りたい方は「2017年のIPO銘柄一覧(準備中)」のページを参考にしてください。

そもそもIPOのロックアップとは?

IPOのロックアップとは、上場前の既存株主に対して所有している株式を上場後から一定期間売却できないようにする規制・契約を指します。

ちなみに、ロックアップは英語で「lock up」となり、「鍵をかける・保管する」などという意味があります。株式に鍵をかけて売買できないようにするんですね。

このようなロックアップ契約を既存株主と結ぶ理由は、IPO直後の株価暴落を防ぐためです。

株価が暴落してショック

株価は「需要(いくらで買いたい)」と「供給(いくらで売りたい)」のバランスによって決まります。基本的に供給よりも需要の方が多ければ高くなり、需要よりも供給の方が多ければ安くなります。

そのため、ただでさえ取引量が少ないIPO直後に大量の株式が売りに出されると、株価は一気に下落していきます。

株価が下落している株式をあなたは買いたいですか?ほとんどの人が敬遠しますよね。

これでは上場によって株式を流通させるという1つの目的が失われてしまいます。それを防ぐ為の契約がロックアップなんですね。また、株価の下落によって損を被る一般の投資家を保護する意味合いもあります。

では、このロックアップの「対象となる株主は誰なのか」「期間はいつまでなのか」について詳しく見ていきましょう。

ロックアップ規制の対象となる株主

ロックアップの規制対象となる株主は、各IPO銘柄によって異なりますが、主に以下のような人(役職)・企業が該当します。

ロックアップの対象者
  • 会社役員(代表取締役や監査役など)
  • 大株主(企業も含む)
  • ベンチャーキャピタル

:上記の人・企業が必ずロックアップ対象となるわけではありません。ロックアップはあくまで証券会社と株主との間で結ばれる契約なので、株主が拒否する事も可能です。

ほとんどのIPOでは、IPO前の発行株式総数に占める所有株式の割合が数%超である上記の個人・企業がロックアップの対象株主となっています。ただIPO銘柄によっては、株式の所有割合が1%にも満たない従業員も対象となっている場合があります。

なお、ブックビルディングに参加して当選した人や上場後に株式を購入した人はロックアップの対象にはなりません。あくまで、ロックアップの対象となる株主は、上場前に株式を所有している人・企業です。勘違いしないでくださいね。

ロックアップが解除されるまでの期間は?

ロックアップは上場前の一定の株主に対する売却制限ですが、前述したとおり、上場日から一定の期間が経過すると解除されます。

カレンダーと砂時計

ロックアップが解除される期間は、90日間又は180日間に設定される場合が多いです。

また、上場前に既に大量の株式が発行されている大型IPOでは、売却の影響を考慮して、ロックアップ期間が段階的に設定される事もあります。第一段階が上場日後90日、第二段階が上場日後180日、といった感じです。

いずれにしても、ロックアップがいつ解除されるのかは必ずチェックしておきましょう。

なお、ロックアップ期間には土日祝日も含まれます。証券取引所の営業日を基準にしているわけではありません。

ロックアップの解除条件~株価が公開価格の1.5倍になったら~

”上場日からの期間”はロックアップの解除条件の1つですが、その他にも解除される条件が付されている場合があります。

その中でも特に注意しておきたいのが「株価が公開価格に対して一定以上になった場合にロックアップが解除される」という条件です。たとえば、公開価格の1.5倍や2倍などという数値が設定されます。

この条件をクリアすると、ロックアップ期間が経過していなくても、売却が制限されていた株主は所有している株式を自由に売却できるようになります。

下落している株価チャート

一気に大量の株式が売りに出される可能性が有り、仮に売りに出されれば株価が下落するおそれがあります。そのため、ロックアップの期間だけでなく、解除される条件(基準値・株価等)もチェックしておきましょう。

【もう1つのロックアップ】上場前の第三者割当に対する公開前規制

ここまで紹介してきた内容は「証券会社」と「既存株主」との間で結ばれるロックアップについてでしたが、実は各証券取引所によって規制されるロックアップも有ります(公開前規制と言います)。

証券取引所による規制対象は、上場申請日の直前事業年度の末日から起算して1年前の日以降に第三者割当により株式を取得した株主です。その目的は、上場による短期的な利益獲得の防止です。

ロックアップ対象となる第三者割当の期間

というのも、上場前の株式価格は、流通性が欠如しているので、新規上場をする際の公開価格と比べるとその価値はかなり低くなります。実際、2017年10月5日に上場した「ウェルビー(マザーズ・6556)」では、公開価格2,580円に対して第三者割当での発行価格が22円でした。その差はなんと約100倍です。

公開価格及び初値がどのような価格になろうが、上場日に売りに出ますよね。絶対得をするんですから。私だってそうします。

つまり、上場を控えている株式会社は、恣意的にこういう状況を作り出せるんです。これでは一般投資家との公平性が担保されませんよね。

そのため、IPO直前の第三者割当に対してロックアップ規制をかけているんです。なお、売買を制限する事によって、証券会社と株式会社間のロックアップと同様の株価暴落を防ぐ効果も有ります。

ちなみに、新規上場するにあたって、当該ロックアップの対象となる株主との間で「継続所有の確約書」という書類を作成し、証券取引所への提出が求められます。
ポイントを伝える女性

そして、このロックアップについても解除される期間が設定されています。なお、証券会社との間で結ばれるロックアップとは違い、経営不振によりやむを得ず株式を譲渡する場合などを除き、“期間”以外にロックアップが解除される条件はありません。

それでは、東京証券取引所の場合におけるロックアップ期間について見てみましょう。

  • ① 第三者割当による株式取得日から上場後6ヶ月が経過する日まで
  • ② ①の日が第三者割当の払込期日から1年が経過していない場合は、第三者割当の払込期日から1年が経過した日まで
このように上場日直前の第三者割当に対してもロックアップ規制がかかっているので、併せてチェックしておきましょう。

ロックアップの内容を目論見書で必ずチェック!

上場直後はロックアップによって株価暴落を防ぐ事ができますが、解除される期間・条件が設定されている以上、遅かれ早かれそのリスクは訪れます。そのため、IPO投資をするのなら、ロックアップに関する内容は必ずチェックしておくべきです。

ロックアップに関してチェックしておくべき事項
  • ロックアップ期間
  • 解除される条件
  • 対象株主及び株数(第三者割当に関しても)
これらの内容は証券会社のHPなどで開示されている「目論見書」で把握する事ができます。各項目が掲載されている箇所は以下の通りです。

項目目論見書の箇所
ロックアップ期間第一部 【証券情報】の第2【売出要項】の【募集又は売出しに関する特別記載事項】の3 ロックアップについて
解除される条件同上
対象株主同上
株数第四部【株式公開情報】の第3【株主の状況】
第三者割当第四部【株式公開情報】の第2【第3者割当等の概況】

各項目が目論見書にどのように記載されているのかを、実際に平成29年10月にIPOをした「ウェルビー(マザーズ・6556)」の目論見書で確認してみましょう。

まずは「ロックアップ期間」「解除される条件」及び「対象株主」についてです。第三者割当に関するロックアップについても、ここで軽く触れられています。

なお、以下の文章中の「黒い太字」部分は、IPOタイムズ(当サイト)が説明の為に書き足した内容です。

3.ロックアップについて
「ロックアップ対象株主に関する記載」
本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、売出人かつ貸株人である大田誠及び千賀貴生並びに売出人である浜地裕樹及び伊藤浩一は、

「ロックアップ期間に関する記載」
主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む。)後90日目の平成30年1月2日までの期間(以下「ロックアップ期間」という。)中

「期間以外のロックアップ解除条件に関する記載」
主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却(ただし、引受人の買取引受による売出し、オーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すこと、グリーンシューオプションの対象となる当社普通株式を主幹事会社が取得すること及びその売却価格が「第1 募集要項」における発行価格の1.5倍以上であって、東京証券取引所における初値が形成された後に主幹事会社を通して行う東京証券取引所での売却等は除く。)等は行わない旨合意しております。

また、当社は主幹事会社に対し、ロックアップ期間中は主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の発行、当社普通株式に転換若しくは交換される有価証券の発行または当社普通株式を取得若しくは受領する権利を付与された有価証券の発行(ただし、本募集、株式分割及びストックオプションとしての新株予約権の発行等を除く。)等を行わない旨合意しております。

なお、上記のいずれの場合においても、主幹事会社はロックアップ期間中であってもその裁量で当該合意の内容を一部若しくは全部につき解除できる権限を有しております。

「第三者割当に対するロックアップに関する記載」
上記のほか、当社は、取引所の定める有価証券上場規程施行規則の規定に基づき、上場前の第三者割当等による募集株式等の割当等に関し、割当を受けた者との間に継続所有等の確約を行っております。その内容については、「第四部 株式公開情報 第2 第三者割当等の概況」をご参照下さい。

(引用:みずほ証券「株式会社ウェルビー|新株式発行並びに株式売出届出目論見書(平成29年9月)」

どのIPO銘柄でも文章構成は概ね似通ったものになりますが、書かれる内容はIPO銘柄によって異なります。ロックアップの対象株主が多岐に渡る事もあれば、ロックアップ期間が何パターンか記載されている事もあります。そのため、IPO銘柄ごとにチェックするようにしましょう。

続いて、「ロックアップの対象となる株数(1枚目の画像)」及び「第三者割当(2枚目・3枚目の画像)」についてです。

ロックアップ対象となる「株主」及び「所有株式数」(出典:みずほ証券「株式会社ウェルビー|新株式発行並びに株式売出届出目論見書(平成29年9月)」

このように【株主の状況】を見れば、ロックアップ対象株主の所有株式数及び全体に占める割合が分かるのですが、この部分にはロックアップ対象外の株主も記載されています。

そのため、さきほどの「ロックアップについて」で記載されている対象株主の情報と見比べながらチェックするようにしてください。

第三者割当に関する内容(出典:みずほ証券「株式会社ウェルビー|新株式発行並びに株式売出届出目論見書(平成29年9月)」

第三者割当に対するロックアップが解除される期間を調べるには、上記の【第三者割当等の概況】の「発行年月日(=払込期日)」をチェックしましょう。

  • ① 発行年月日が上場日の6ヶ月以上前 ⇒ ロックアップ期間は上場日から6ヶ月後まで
  • ② 発行年月日が上場日の6ヶ月前よりも後 ⇒ ロックアップ期間は発行年月日から1年後まで
今回の事例の場合では、発行年月日が平成28年7月1日となっており、上場日(平成29年10月5日)の6ヶ月以上前なので、第三者割当に関するロックアップ期間は「①」の上場日から6ヶ月後までとなります。

そして、第三者割当によって取得した株主とその株式数については【取得者の概況】に以下のような形で記載されています。

第三者割当によって株式を取得した者(出典:みずほ証券「株式会社ウェルビー|新株式発行並びに株式売出届出目論見書(平成29年9月)」

目論見書には、その他にも様々な情報が掲載され、その量は100ページを優に超えます。1ページ目から順番にロックアップに関する情報を探していては時間の無駄です。

そのため、今回紹介した内容を情報収集の時間コスト削減に役立ててくださいね。

IPOでは目論見書のここを閲覧すべし!チェックすべき8つの項目とその見方

2018.03.12

なお、新株予約権(ストックオプション)についてもロックアップ規制がかけられているので、併せてチェックしておきましょう。

【株価への影響】ロックアップ解除後は暴落する可能性も・・・

ロックアップの解除による株価への影響が気になる人は多いのではないでしょうか?上場直後の株価の暴落を防ぐ為にロックアップ規制が行われるわけですから「解除されたらどうなるの?」と不安に思うのは当然です。

既に何度か触れてきましたが、もう一度「ロックアップの解除」と「株価」の関係についておさらいしておきましょう(あくまでロックアップのみに着目した話です)。

株価のチャート

ロックアップが解除されると、株式の売却が制限されていた大株主が市場で自由に売却できるようになります。一気に大量の株式が市場で売られれば、供給過多となり、株価はグングン下がっていきます。

そのため、一般論としてロックアップの解除後は株価が下落する、と言われています。さらに、一般の投資家もこうした事は織り込み済みなので、ロックアップ解除直前に株式を売却する事で、株価の下落に拍車がかかります。

もちろん、大株主が株式を売却する事がこの一般論の前提条件ですが、ベンチャーキャピタル(投資ファンド)がロックアップ対象となっている場合は、投資を回収する為に売りに出る可能性が高いです。

なお、ロックアップがかかっている会社の役員や企業が大量に売却する可能性は低いです。なぜなら株を持っていることの目的が”会社経営権の保持”であったり”資本提携”などですからね(もちろん多少は売却することはあると思いますが。)

では、実際に各IPO銘柄の株価がロックアップ解除前後でどのような動きをしているのか見ていきましょう。

株価銘柄数割合
下落31銘柄55.36%
維持1銘柄1.79%
上昇24銘柄42.86%
ロックアップ解除前後の「終値」を比較しています。なお、2016年及び2017年(9月28日時点でロックアップが解除されているIPO銘柄)に上場した銘柄のうち、価格によるロックアップ解除条件が付されているIPO銘柄を除外した56銘柄を分析対象としています。

どうでしょうか?確かに株価が下落する銘柄の方が多いですが、一般論で言われているようにどの銘柄も軒並み下落する、という事はなさそうです。

また、株価の下げ幅という観点から見ても5%~7%ほど下落した銘柄は数銘柄でした。その他はほぼ横ばいです。大暴落するような銘柄は直近約2年では有りませんでした。

ただし、このデータはあくまでロックアップが解除される前後の2日間の株価を比較したものです。1週間・1ヶ月など、もう少し広い視野をもって株価をチェックする必要もあります。

そして、ロックアップ解除によって株価が下がらなかったとしても、その後株価が下がらない保証はどこにもありません。むしろ、ロックアップ対象だった株主がその後はいつでも売れる状態になるので、株価下落のリスクが常に有る状態が続くとも言えます。

今回はロックアップに焦点を当てて株価の動向について分析しましたが、その他の要因(景気・金利・企業の財務データ)も考慮するようにしましょう。

ロックアップ解除による株価暴落のリスクを避けるには初値売りが最善策

ロックアップによってベンチャーキャピタルなどの大株主が一定期間株式を売る事は出来ませんが、忘れてはならないのが株価による解除条件です。

IPO直後の株価は激しく変動する傾向が強いですし、何より期待感の高さから初値でいきなり解除条件を満たしてしまう場合も多々有ります。

「ロックアップ規制が有るからしばらくは安心♪」という油断は禁物です。また、油断はしていなくとも、サラリーマンの方などは常に株価をチェック出来ませんよね。

株価によるロックアップ解除条件が付されているIPO銘柄を購入する場合は、やはりリスクとして捉えておく必要があるでしょう。

リスク

そのリスクを確実に避ける方法が「初値売り」という投資戦略です。ブックビルディングに当選した人だけが出来る投資方法ですが、「初値ー公開価格」で利益を獲得する方法です。上場日に株式を売却してしまう事で、上場後の株価の推移やロックアップの内容などの影響を受ける事はありません。

ロックアップのリスクをどの程度考慮するのかによりますが、不安な人は初値売りを検討してみてはいかがでしょうか?

まとめ

今回はIPOにおけるロックアップについて紹介しました。ポイントを簡単にまとめると、以下のようになります。

ポイントまとめ
  • ロックアップとは、上場前の株主に対する株式の売却制限
  • 期間や株価などによってロックアップは解除される
  • 解除されると株価が下落する可能性アリ
IPOの抽選に参加する人も初値で購入する人も、ロックアップの意味・内容はもちろんのこと、投資するIPO銘柄のロックアップの解除条件などは必ずおさえておきましょう。

特に、株主にベンチャーキャピタルがいるのかどうかは重要です。投資回収の為に必ず株式を売りにきますからね。この点も忘れずチェックしてください。