(出典:カオナビ)
株式会社カオナビの新規上場承認が発表されました。クラウド人材マネジメントシステム「カオナビ」を提供する会社です。”クラウド“と”働き方改革“というホットワードを引っさげての上場という事で初値上昇に期待が持てるIPOとなります。
公開規模はマザーズ上場銘柄では中型案件です(吸収金額は17.8億円)。主幹事はチャンス抽選のある「大和証券」。
2月26日時点のカオナビの初値予想は以下の通りです(想定価格は1,780円、仮条件は1,780円~1,980円、公開価格は1,980円)。
それではカオナビのIPO情報について見ていきましょう。
カオナビのIPO情報
銘柄 | 株式会社カオナビ (HPはこちら) |
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上場承認日 | 2月12日 |
証券コード | 4435 |
上場市場 | マザーズ |
単位株 | 100株 |
業種 | 情報・通信業 |
事業内容 | クラウド人材マネジメントシステム「カオナビ」の提供 |
カオナビはクラウド人材マネジメントシステムである「カオナビ」を提供している会社です。
「カオナビ」とは、社員の顔や名前、経験、評価、スキルなどの人材情報を一元管理して可視化する事で、最適な人材配置や抜擢といった人材マネジメントをサポートするシステムです。クラウド上に人材情報を集め、共有できるので場所・時間を問わず、人材マネジメントを行う事ができます。
最近、働き方改革が話題に挙がっていますが、カオナビは現有の人材資源を効率的に業務へ投下するためのシステムですので、話題に沿った事業を展開している会社と言えますね。
カオナビを導入している企業には有名企業も多く、たとえば、みずほフィナンシャルグループやパナソニック、メルカリなどが顧客となっています。年々導入企業が増加し、2019年1月時点で1,200社を突破しています。
(出典:有価証券届出書)
ビジネスモデルは月額課金制(サブスクリプションモデル)を採用。「月額39,800円~」から「月額79,800円~」までのプランが用意されています。単価自体が低いため、「継続利用の確保」と「新規顧客の獲得」が収益の安定・拡大の鍵となります。
ちなみに、カオナビが顧客に対して行ったアンケート(145社から回答)によると、約94.5%が継続利用を希望したようです。この結果に加えて、さきほどの導入企業数の推移を考慮すると、このまま右肩上がりの成長が続いていく可能性が高いですね。
それでは、株価情報やスケジュールなどのIPO情報について見ていきましょう。
【株価情報】想定価格・仮条件・初値
想定価格 | 1,780円 |
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仮条件 | 1,780円~1,980円 |
公開価格 | 1,980円 |
初値(騰落率) | 3,970円(+100.51%) |
上場後の株価 | Yahooファイナンス |
【公開規模】公開株数・吸収金額・比率
公開株数 *1 | 1,000,500株 |
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公募株数 | 500,000株 |
売出株数 | 370,000株 |
OA | 130,500株 |
吸収金額 *2 | 19.8億円 |
公募・売出比率 | 公募:売出=50:50 |
*1 公募株数、売出株数及びOA(オーバーアロットメント)の売出株数の合計
*2 公開価格(1,980円)で計算
【ロックアップ情報】
大株主上位10名の所有株数とロックアップの状況です。
■ロックアップ情報
株主 | 所有株数 | ロックアップ |
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柳橋 仁機 | 1,829,000株 *1 | 180日間 |
合同会社RSIファンド号 | 1,230,000株 | 180日間 |
大和ベンチャー1号投資事業有限責任組合 | 472,000株 | 90日間又は1.5倍 |
株式会社アスパイア | 250,000株 | 90日間又は1.5倍 |
田丸 拓也 | 160,000株 | 90日間又は1.5倍 |
NVCC7号投資事業有限責任組合 | 158,000株 | 90日間又は1.5倍 |
NVCC8号投資事業有限責任組合 | 150,000株 | 90日間又は1.5倍 |
佐藤 寛之 | 81,000株 | 180日間 |
株式会社新生銀行 | 50,000株 | 公開前規制 |
柳橋 千弘 | 19,000株 | 180日間 |
佐藤 菜津子 | 19,000株 | 180日間 |
*1 オーバーアロットメントによる売出株数130,500株を含む
上記大株主以外のロックアップも考慮すると、上場日における売り圧力はおおよそ以下のようになります。
■上場日時点の売り圧力
上場時発行済株式総数 | 5,288,000株 |
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ロックアップ対象株数 | 4,418,000株 |
上場日時点の売却可能株数 | 1,000,500株 |
注1:オーバーアロットメントによる売出株数130,500株を「ロックアップ対象株数」「売却可能株数」両方に含めているので、合算した数値は発行済株式総数と一致しません。
【主幹事・幹事情報】当選を狙える証券会社はココ!
引受幹事 | 割当株数 | 抽選対象株数 *1 (抽選配分割合) |
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大和証券 (主幹事) |
887,600株 | 221,900株 (25% *2) |
みずほ証券 | 73,900株 | 7,400株 (10%) |
東海東京証券 | 13,900株 | 1,400株 (100% *3) |
マネックス証券 | 13,900株 | 13,900株 (100%) |
SBI証券 | 7,800株 | 3,100株~3,900株 (40%~50% *4) |
エース証券 | 3,400株 | ネット抽選無し |
*2 完全平等抽選分は15%、チャンス抽選分は10%
*3 完全平等抽選分は10%、ステージ抽選分は90%
*4 資金比例抽選分は28%~35%、IPOチャンレンジポイント分は12%~15%
カオナビの公開株数は1,000,500株です。当選本数は10,005本とやや当選しにくいIPOとなっています。
そうした中で当選期待度が高い幹事証券は、やはり主幹事の「大和証券」です。当選本数が2,219本と圧倒的に多く、カオナビのIPOを狙うなら必ず申込をしておきたい証券会社となります。
その次にオススメの幹事証券は「マネックス証券」です。完全平等抽選の配分割合が100%なので、大和証券の次に当選本数が多く、139本となっています。保有資産額等に関係なく抽選参加者全員が等しく当選のチャンスがある証券会社なので、マネックス証券からの申込も必須ですね。
オススメ証券の3番手が「みずほ証券」です。抽選配分割合は低いルールとなっていますが、割当株数の多さから当選本数も多くなっています。同一資金でその他の銘柄も申し込めるのでうまく利用していきたいところです。
4番手が「SBI証券」です。抽選配分割合の高さを活かして当選を狙いつつ、IPOチャレンジポイントもしっかりと貯めていきたいところです。
まだ投資資金に余裕の有る人は、「東海東京証券」からも申し込んでおきましょう。3月のIPOラッシュ真っ只中ですが、みずほ証券と同様に(SBI証券も)同一資金で複数の銘柄に申し込む事ができます。
【IPOスケジュール】抽選申込期間・抽選日・購入申込期間
仮条件決定日 | 2月26日 |
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抽選申込期間 | 2月28日~3月6日 |
抽選日 | 3月7日 |
購入申込期間 | 3月8日~3月13日 |
上場日 | 3月15日 |
なお、サーバーワークスや共栄セキュリティーサービスなどとブックビルディング期間が被っているので、これらの銘柄のIPOスケジュールも併せて確認しておきましょう。
【財務・業績】
決算期 | 2016年3月 | 2017年3月 | 2018年3月 |
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売上高 | 238,963 | 454,822 | 952,417 |
経常利益 | -56,433 | -213,568 | -249,725 |
当期純利益 | -38,764 | -207,318 | -282,968 |
純資産 | 83,313 | 176,895 | 293,927 |
■1株当たりの情報
決算期 | 2016年3月 | 2017年3月 | 2018年3月 |
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EPS | -11,203.59 | -51.77 | -65.91 |
BPS | 24,078.90 | -29.75 | -1.53 |
配当 | - | - | - |
注:2017年3月期及び2018年3月期の1株当たり純資産がマイナスになっているのは、優先株式が発行されていたためです。なお、2月12日時点で優先株式はすべて消却されています。
カオナビのIPO初値予想
まずおおまかな所見を述べると、カオナビのIPO初値は「ややプラス、もしかしたら大きなプラス」と予想しています。
カオナビの最大の魅力は「事業内容」です。IPOで人気化しやすい”クラウド関連“の銘柄であり、しかも”働き方改革“に沿った人材マネジメントシステムを提供しています。こうした銘柄は注目度が高くなる傾向があります。
また、上場に至るまでの成長性も○。売上高の前年期比増減率は、2016年3月期が+111%、2017年3月期が+90%、2018年3月期が+109%となっています。
あと、統計的な話をすると、勝率の高いマザーズ市場への上場という点も評価できるポイントです。過去3年間のマザーズ上場銘柄のIPO勝率は約93.41%となっています。
ただ懸念事項が2点あります。1点目が公開規模です。吸収金額が仮条件の上限価格1,980円ベースで19.8億円と中型のIPOとなっており、初値上昇の荷物になる可能性があります。また、公開株数も1,000,500株とやや多めの株数となっており、大株主にロックアップが満遍なくかかっているものの、売り圧力はやや大きくなるでしょう。
そして最大の懸念事項が「業績」です。売上高は右肩上がりに成長していますが、経常利益・当期純利益ともに損失が出ています。赤字を抱えてのIPOは評価が分かれるところなので注意が必要です。ちなみに、2018年のIPOで直前期に赤字だった銘柄の初値結果がこちらです。
銘柄 | 初値騰落率 |
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自律制御システム研究所 | -16.76% |
ポート | -37.16% |
Delta-Fly Pharma | -8.07% |
チームスピリット | +101.42% |
メルカリ | +66.67% |
ラクスル | +9.67% |
ビープラッツ | +354.55% |
カオナビの場合は、広告宣伝費や採用費などの先行投資が原因の赤字です。売上高が成長しているから”○”と判断されるのか、それでも”×”と評価されるのか・・・。予断を許さない点です。ただ仮条件がやや強気(±0%~+11.2%)の設定となったので、機関投資家から成長性が買われたと判断しても良いかもしれませんね。
こうした事をトータルで考慮して、IPOタイムズとしての初値予想は現時点で以下の通りとしています(想定価格は1,780円、仮条件は1,780円~1,980円、公開価格は1,980円)。
初値のプラス要素 | 初値のマイナス要素 |
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人気化しやすい事業内容 | やや大きめの公開規模 |
成長性○ | 業績× |
マザーズへの上場 | - |
やや強気の仮条件 | - |
まとめ
カオナビのIPOについて、抽選に申し込む上で知っておきたい情報をまとめてみました。
“クラウド“と”働き方改革“を事業テーマに掲げるカオナビ。魅力的なIPOとなりそうですが、赤字続きの業績は気になるところです。ただ仮条件が想定価格1,780円に対して1,780円~1,980円とやや強気の設定となったので、プラスの評価が下されたと判断しても良いでしょう。
では、最後にカオナビのIPOにおいてオススメの証券会社を一覧で紹介しておくので参考にしてくださいね。