(出典:日本国土開発)
2019年3月シーズン第一弾のIPOが承認されました。銘柄は「日本国土開発株式会社(1887)」です。主幹事は三菱UFJモルガン・スタンレー証券。吸収金額は約78.9億円と比較的大型のIPOとなります。
1999年3月に会社更生手続開始決定により上場廃止。それから20年を経過しての再上場となります。再上場のIPOはリスクの高い案件なので注意が必要です。
2月6日時点の日本国土開発のIPO初値予想は以下の通りです(想定価格は500円、仮条件は490円~510円、公開価格は510円)。
業種は「建設業」。事業内容は「土木・建築工事の施工管理及び建築設計業務を中心とした総合建設業」です。
それでは、日本国土開発のIPO情報について見ていきましょう。
日本国土開発のIPO情報
銘柄 | 日本国土開発株式会社 (HPはこちら) |
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上場承認日 | 1月29日 |
証券コード | 1887 |
上場市場 | 東証1部 |
単位株 | 100株 |
業種 | 建設業 |
事業内容 | 土木・建築工事の施工管理及び建築設計業務を中心とした総合建設業 |
日本国土開発は、総合建設業を中心とした事業を展開しています。主な事業区分は以下の3つです。
- 土木事業:独自の工法を用いたダム・道路などの社会基盤整備及び震災関連復興工事から太陽光発電所建設工事までの幅広い工事の施工管理
- 建築事業:住宅・商業施設・工業施設等の設計監理及び施工管理
- 関連事業:不動産の売買・賃貸や不動産開発事業、再生可能エネルギー事業、建設用資機材の賃貸事業など
施工例として有名な施設等を挙げると、土木事業では東京湾アクアライン、建築事業では広島平和記念館などです(いずれも複数の建設企業が1つの工事を受注するJV施工)。
また、日本国土開発グループは小会社11社と関連会社2社で構成され、これらの関係会社等が行う事業も売上の柱となっています。関係会社の売上の大半は、国土開発工業の土木工事・建設用機械の製造・販売・賃貸事業が占めています。
(出典:目論見書)
続いて、日本国土開発のIPOの価格情報や幹事一覧情報などを紹介します。
【株価情報】想定価格・仮条件・初値
想定価格 | 500円 |
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仮条件 | 490円~510円 |
公開価格 | 510円 |
初値(騰落率) | 624円 |
上場後の株価 | yahooファイナス |
【公開規模】公開株数・吸収金額・比率
公開株数 *1 | 15,474,400株 |
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公募株数 | 12,080,000株 |
売出株数 | 1,376,000株 |
OA *2 | 2,018,400株 |
吸収金額 *3 | 約78.9億円 |
公募・売出比率 | 公募:売出=78:22 |
*1 公募株数、売出株数及びOA(オーバーアロットメント)の売出株数の合計
*2 予定の株数(決定するのは2月22日)
*3 公開価格(510円)で計算
【ロックアップ情報】
大株主上位10名の所有株数とロックアップの状況です。
株主 | 所有株数 | ロックアップ |
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日本国土開発持株会 | 12,208,000株 | 180日間 |
株式会社ザイマックス | 5,865,000株 | 180日間 |
みずほ信託銀行株式会社 | 4,000,000株 | 公開前規制 |
株式会社西京銀行 | 3,500,000株 | 180日間 |
株式会社三菱UFJ銀行 | 3,500,000株 *1 | 180日間 |
アジア航測株式会社 | 3,189,000株 | 180日間 |
前田建設工業株式会社 | 3,000,000株 | 180日間 |
日本基礎技術株式会社 | 2,900,000株 | 180日間 |
三井住友海上火災保険株式会社 | 2,456,000株 | 180日間 |
東亜道路工業株式会社 | 2,195,000株 | 180日間 |
*1 オーバーアロットメントによる売出株数2,018,400株を含む
上記大株主以外のロックアップも考慮すると、上場日における売り圧力はおおよそ以下のようになります。
■上場日時点の売り圧力
上場時発行済株式総数 | 98,255,000株 |
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ロックアップ対象株数 | 59,753,000株 |
上場日時点の売却可能株数 | 28,601,454株 |
注1:オーバーアロットメントによる売出株数2,018,400株を「ロックアップ対象株数」「売却可能株数」両方に含めているので、合算した数値は発行済株式総数と一致しません。
注2:目論見書「第3【株主の状況】」において、その他として合算されている各株主及びその株数については把握できていません。
注3:上場日時点の保有自己株式数11,918,946株を売却可能株数から控除しています。
【主幹事・幹事情報】当選を狙える証券会社はココ!
引受幹事 | 割当株数 | 抽選配分数 *1 (抽選配分割合) |
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三菱UFJMS証券 (主幹事) |
14,129,000株 | 1,412,900株 (10%) |
マネックス証券 | 134,500株 | 134,500株 (100%) |
みずほ証券 | 807,300株 | 80,700株 (10%) |
大和証券 | 269,100株 | 53,800株~67,300株 (20%~25% *2) |
極東証券 | 134,500株 | ネット申込なし |
裏幹事 | カブドットコム証券 |
*2 完全平等抽選分は15%、チャンス抽選分は5%~10%
公開株数(15,474,400株)が非常に多いので当選しやすいIPOとなっています。そうした状況下で、より当選しやすい証券会社を挙げるとすれば、やはり主幹事の三菱UFJモルガン・スタンレー証券です。当選本数は圧倒的に多い14,129本(1,412,900株)となっています。
次にオススメなのはマネックス証券です。割当株数は極東証券と並んで最も少ない幹事証券となっていますが、やはり抽選配分割合100%の力は絶大で、当選本数は幹事証券の中で最も多い証券会社となっています。
そして狙い目なのがカブドットコム証券です。三菱UFJモルガン・スタンレー証券が主幹事の時はかなりの株数を委託される傾向があるので、今回もカブドットコム証券が取り扱う株数は多くなるでしょう。
【IPOスケジュール】抽選申込期間・抽選日・購入申込期間
仮条件決定日 | 2月13日 |
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抽選申込期間 | 2月15日~2月21日 |
抽選日(前期) | 2月22日 |
購入申込期間 | 2月25日~2月28日 |
上場日 | 3月5日 |
・カブドットコム証券の抽選日・・・2月26日
【財務・業績】
決算期 | 2016年5月 | 2017年5月 | 2018年5月 | |
---|---|---|---|---|
売上高 | 連結 | 118,875 | 109,117 | 117,579 |
単体 | 110,543 | 100,108 | 103,567 | |
経常利益 | 連結 | 5,520 | 7,224 | 15,330 |
単体 | 4,656 | 6,175 | 13,805 | |
当期純利益 | 連結 | 2,871 | 3,667 | 10,262 |
単体 | 2,485 | 3,262 | 9,265 | |
純資産 | 連結 | 41,099 | 42,029 | 50,180 |
単体 | 39,726 | 39,688 | 47,108 |
■1株当たりの情報
決算期 | 2016年5月 | 2017年5月 | 2018年5月 | |
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EPS | 連結 | 28.64 | 41.40 | 137.94 |
単体 | 24.79 | 36.83 | 124.53 | |
BPS | 連結 | 401.73 | 509.08 | 708.61 |
単体 | 396.25 | 494.87 | 670.52 | |
配当 | 連結 | - | - | - |
単体 | 6.50 | 7.50 | 15.00 |
日本国土開発のIPO初値予想
上場する市場は、東証1部又は東証2部です(2月22日に決定予定)。直近3年間のデータでは、東証1部・東証2部へのIPOは初値が上がりにくく、勝率も低くなっています。
- 東証1部へのIPO(26件):平均初値騰落率8.25%、勝率46.2%
- 東証2部へのIPO(18件):平均初値騰落率16.02%、勝率66.7%
東証1部又は2部への上場という事もあり、公開規模は大きめのIPOとなっています。公開規模は大きいほど、初値は上がりにくい傾向があります。
- 吸収金額:78.9億円
- 公開株数:15,474,400株
特に、公開株数の多さは憂慮すべき点です。これだけ多いと売り圧力がかなり大きくなりますからね。ちなみに、過去3年間で公開株数が1,000万株を超えたIPO21件の成績は、平均初値騰落率が5.87%、勝率が33.3%となっています。
また、上位の大株主には満遍なくロックアップが掛かっているものの、全体では自己株式を除く発行済株式総数(74,256,054株)の約80%に留まっています。取引の維持・強化の為に日本国土開発の株式を保有している法人株主も多数存在するので、上場後に売却する可能性は低いですが、比較的多くの株式にロックアップが掛かっていない状況は初値にとってはマイナス要因です。
業種・事業内容は、IPOでは人気のない「建設業」です。過去3年間のIPO全体(263件)の平均初値騰落率96.88%に対して、建設業のIPO(7件)の平均初値騰落率は41.11%でした。日本国土開発は公開規模が大きいので、直近3年間ではありますが、建設業の平均初値騰落率を下回ってくると予想しています。
そして、なんと言っても注意しなければならないのが「再上場」のIPOである点です。再上場のIPOは投資家から敬遠される傾向があります。過去3年間に再上場を果たしたIPOは9件ありますが、そのうち公募割れを起こしたのはなんと7件。公募価格で乗って、初値で降りる事を考えている人は、公募割れリスクを認識しておきたいところです。
さて、ここまで初値のマイナス要素ばかりを挙げてきましたが、プラス要素についても2点触れておきます。
1点目が「公募売出比率の高さ」です。この比率が高いほど、初値は上がりやすい傾向があります。成長の為のIPOであると考えられますからね。逆に売出しが多いと上場ゴール感が漂います。日本国土開発の公募売出比率はおよそ「公募:売出=90:10」です。
ちなみにIPOで獲得する資金の使途は以下の通りです。
- 技術開発拠点「つくば未来センター及び関連施設」への投資
- 機械設備の購入
- 全社システム投資
- 太陽光発電事業への投資
2点目が「想定価格の安さ」です。日本国土開発の想定価格は500円。仮条件及び公募価格もこの近辺となるでしょう(仮条件は490円~510円に決定)。想定価格が安いとなぜ良いのか?というと、割安感が出るためです。また、少ない資金で投資できるので、初値買いが入りやすい事も理由の1つです。
実際、過去3年間で見ると、公開価格が1,000円未満となったIPO28件のうち公募割れとなったのは1銘柄のみです。低い公開価格の銘柄は安定して初値がプラスになりやすい傾向があるんですね。
ただし、唯一公募割れした銘柄は再上場のウェーブロックホールディングスなんです。そのため、公募価格が1,000円未満となる可能性が高い日本国土開発ですが、公募割れのリスクは十分検討する必要があります。
こうした事をトータルで考慮して、IPOタイムズとしての初値予想は現時点で以下の通りとしています(想定価格は500円、仮条件は490円~510円、公開価格は510円)。
初値のプラス要素 | 初値のマイナス要素 |
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公募売出比率が高い | 上場市場が東証1部又は2部 |
低い想定価格 | 公開株数が多い |
- | ロックアップが甘い |
- | 業種が建設業 |
- | 再上場のIPO |
まとめ
日本国土開発のIPOについて、抽選に申し込む上で知っておきたい情報をまとめてみました。
公開株数が15,474,400株もあるので、かなり当選しやすいIPOとなります。ただし、その反面需給も緩く、また再上場の案件という事もあり、公募割れのリスクがある点には注意が必要です。
それでも日本国土開発のIPO抽選に参加する!という人のために、オススメの証券会社を一覧で紹介しておくので参考にしてくださいね。なお、三菱UFJモルガン・スタンレー証券は、当選後の辞退に対してペナルティが課されます。この点も考慮して、IPOに申し込む証券会社を選択してくださいね。
- 三菱UFJモルガン・スタンレー証券:主幹事
- マネックス証券:抽選配分割合100%
- カブドットコム証券:三菱UFJモルガン・スタンレー証券が主幹事の時は狙い目
- 大和証券:抽選配分割合20%~25%
- みずほ証券:抽選配分割合10%