IPOの補欠当選は”当選“という文字が含まれていますが、当選が確定したわけではありません。購入申込期間中に購入(補欠)申込を行い、繰上抽選において繰上当選した場合に晴れて当選が確定します。
そのため、IPOに補欠当選した際は、その後必要な手続きとして「購入申込」を行う必要があります。
しかし、そうした手続きが必要な事は分かっていても、それ以前に「購入申込をして繰上当選を狙うかどうか」という点について悩む人が多いのではないでしょうか?
購入申込をすると資金拘束の期間が長くなりますし、その上、繰上当選とならなければ他のIPO銘柄に資金を回しとけば良かった・・・という事になりますからね。そもそも繰上当選の確率はかなり低いから期待するだけ無駄だと思っている人もいるでしょう。
そこで今回は、IPOに補欠当選した時の「繰上当選を狙うべきか、購入申込を辞退すべきか」という判断ポイントについて紹介したいと思います。
IPOに補欠当選した時の基本的な考え方⇒原則として繰上当選を狙うべし!
「繰上当選を狙って購入申込をする」
これがIPOに補欠当選した時の基本的な考え方です。
もちろん、補欠当選から繰上当選する確率は低いです。補欠当選を「事実上の落選」と考えている人もいるでしょう。
たしかに、繰上当選するには、当選者が「当選辞退」をするか「当選辞退扱い(購入申込を忘れる・資金の不足)」になる事が前提です。勝率の高いIPO投資において、こうした事態が発生する事はなかなか考えられません。発生したとしても、繰上抽選の競争率は激しくなる事が予想されます。
しかし、補欠当選から繰上当選する可能性は0ではないのです。実際に、繰上当選している人はいますからね。
また、補欠当選時に購入申込をしないという決断は、自ら繰上当選の確率を0にしている事になります。低い確率だったとしてもそれは勿体無いと思いませんか?
そのため、IPOに補欠当選した時は、基本的に繰上当選を狙っていくようにしましょう。
ただこれはあくまで基本的な考え方です。状況によって補欠当選時の判断は変わってきます。購入辞退をした方が懸命な時もあります。
そこで次はもう少し具体的な状況を加味して、補欠当選時の判断ポイントを紹介したいと思います。
IPOに補欠当選した時の判断ポイント
IPOの補欠当選から繰上当選を狙うかどうかを判断する際に、考慮した方が良い具体的な状況は以下の3つです。
- 証券会社
- 銘柄
- 資金
1つずつ詳しく見ていきましょう。
どこの証券会社で補欠当選したのか?
まず1つ目が「どこの証券会社で補欠当選したのか?」という点です。証券会社を考慮する理由は、繰上当選の確率が変わってくるからです。
というのも、証券会社の中には抽選結果が「当選」と「補欠当選」しかない所があるんです。当選者以外が補欠当選者になるわけですから、その大勢の補欠当選者で行われる繰上抽選の確率はかなり低くなります。
以下の証券会社が「当選」と「補欠当選」しかない所です。
- SMBC日興証券
- 三菱UFJモルガン・スタンレー証券
- 東洋証券
- 丸三証券
特に、SMBC日興証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券及び東洋証券では、当選辞退に対してペナルティが課されるので、当選辞退そのものが発生しにくく繰上抽選の確率はさらに低くなります。
そのため、これら3社での補欠当選は落選と同じであると考えて、購入申込をしないと判断しても良いでしょう。逆に、それ以外の証券会社での補欠当選なら繰上当選の期待が若干高まります。
どのようなIPO銘柄で補欠当選したのか?
次に考慮したいポイントが「どのようなIPO銘柄で補欠当選したのか?」という点です。もう少し具体的に言うと「初値がプラスになりそうな銘柄か公募割れしそうな銘柄か」という事です。この点を考慮する理由は、補欠当選の数が変わってくるからです。
というのも、幹事を務める各証券会社は上場する株式会社と元引受契約を結び、IPOにおいて公開される全ての株式を一旦買い取り、それらを当選者に販売します。全ての株式を販売できれば利益を最大化できますが、売れ残りが出れば証券会社が引き取る事になるので、上場時には損失を出す事になります。
つまり、証券会社は基本的に引き受けた株式をなんとしてでも売り捌きたいわけです。そのためには、当選者の辞退に対しても何らかの備えが必要になってきます。その役目を果たすのが補欠当選です。
ただ、落選が無い証券会社を除いて、なんでもかんでも補欠当選を大量に出すわけではありません。当選辞退が少ないと予想されるIPO銘柄では補欠当選の数を少なくし、当選辞退が多いと予想されるIPO銘柄では補欠当選の数を多くするのが一般的です。
前置きが長くなりましたが、こうした証券会社の対応が補欠当選時の判断のポイントとリンクしてきます。
まずは「初値がプラスになりそうな銘柄」から。このような銘柄は誰もが当選したら購入したい銘柄となりますよね。当然購入辞退も少なくなります。それを受けて補欠当選の数も少なくなります。
そのため、初値がプラスになりそうな銘柄で補欠当選した場合は、少ない人数での繰上抽選が行われる事になるので、なるべく繰上当選狙いで購入申込を行った方が良いでしょう。
次に「公募割れしそうな銘柄」です。このような銘柄は、誰もが購入を回避したい銘柄となりますよね。当然購入辞退者も多くなります。それに備えて、かなりの数の補欠当選がばらまかれる事になります。
実際に管理人自身も2018年9月27日に上場したSBIインシュアランスグループ(初値騰落率0%)でSBI証券とみずほ証券の2社で補欠当選となりました。
■SBI証券の補欠当選画面
■みずほ証券の補欠当選画面
また、このような銘柄では補欠当選でも購入辞退を行う人が多くなるので、比較的繰上当選しやすくなります。ただし、繰上当選したとしても公募割れ銘柄を掴んでしまう可能性が有る点には注意が必要です。
そのため、公募割れしそうな銘柄での補欠当選は、購入辞退をした方が良いでしょう。
投資資金に余裕は有るのか?
冒頭で触れたように、補欠当選をして購入申込をすると、繰上抽選の結果が出るまで資金が拘束されます。限られた資金でIPO投資をしている人にとっては、この資金拘束はけっこう痛いです。
というのも、資金拘束を受ける事によって、その資金を他のIPOの申込に利用する事ができなくなるからです。
「通常のIPOの抽選」と「繰上抽選」では、どちらの当選確率が高くなるのかは不明ですが、IPOが集中する時期だとその資金で複数銘柄の抽選を受けられる事もあるので、そういった時期には繰上当選狙いを諦めた方が資金効率が良いと言えます。
【参考】繰上抽選結果はいつ発表される?
繰上抽選結果は、基本的に購入申込期間の最終日に発表されます。資金拘束もその時まで受ける事になります。
投資資金が限られている人は資金拘束が解放される時期も考慮して、繰上当選を狙うかどうかの判断を行うようにしましょう。
繰上当選を諦める場合の注意点
ここまで補欠当選時の判断ポイントについて紹介してきましたが、それを考慮の上、補欠当選からの繰上当選を諦める場合もあると思います。その時にいくつか注意してほしい事があるので以下に紹介しておきます。
購入辞退をしないと資金拘束が解除されない証券会社がある
証券会社の中には補欠当選となった場合に、購入辞退をしないと資金拘束が継続される所があります。それが以下の5社です。
- マネックス証券
- 東海東京証券
- 丸三証券
- SBI証券
- 立花証券
繰上当選を狙わないのに資金拘束を受け続けるのは勿体ないので、購入辞退の手続きを忘れずに行いましょう。
IPOチャレンジポイントについて
SBI証券に限った注意点ですが、補欠当選時のIPOチャレンジポイントの取扱には注意してください。気をつけてほしいのは以下の2点です。
- 購入申込をして繰上抽選で落選しないとIPOチャレンジポイントは付与されない
- IPOチャレンジポイントを使用している場合、購入申込をしなければポイントは消失してしまう
これらの注意点については以下の記事で詳細に解説していますが、SBI証券においては補欠当選時の判断においてIPOチャレンジポイントも考慮しなければならない点は覚えておきましょう。
まとめ
IPOの補欠当選時における判断ポイントについて紹介しました。
基本的には繰上当選を狙って購入申込を行うスタンスで良いと思いますが、今回紹介したように「繰上当選を積極的に狙っていきたい場合」や「むしろ補欠当選を辞退すべき場合」などが状況に応じて発生します。紹介した内容を参考にして、補欠当選時に判断するようにしてくださいね。