新たなIPO銘柄の上場が承認されると「その銘柄が人気化するのか、しないのか」について調べる人も多いと思います。
調べる理由は、やはり「人気化するIPO銘柄=初値が高騰」となるからです。初値売りをすれば大きな利益を得られる銘柄、という事ですね。
人気化するIPO銘柄であれば、ブックビルディングに全力で申し込むための準備をするでしょうし、またIPOチャレンジポイントの使用を決断する事もあるでしょう。
そこで今回は、人気化しやすいIPO銘柄の特徴について紹介していきたいと思います。
IPOで人気化する銘柄の特徴
人気が高くなるIPO銘柄の特徴は以下の4通りです。
- 公開株数が少ない
- 吸収金額が少ない
- 価格設定が強気
- 事業内容が人気の分野
当てはまれば当てはまるほど人気化するIPO銘柄になるのでチェックするようにしましょう。
では、それぞれの項目について詳しく見ていきましょう。
①公開株数が少ない
公開株数は、公募株数と売出株数(オーバーアロットメント分を含む)の合計を指します。
公開株数が30万株未満のIPO銘柄は人気が高くなります。IPOチャレンジポイントの使用判断においては、さらに絞って20万株未満にしても良いかもしれません。
公開株数が少ないIPO銘柄に人気が集まる理由は、上場後に株式市場に売りに出される株数が必然的に少なくなり、また買い需要が圧倒的に大きくなる事によって、初値が高騰しやすいからです。簡単にいうと、当該IPO銘柄を売りたい人が少なく、買いたい人が多くなる構図になるんですね。
ただし、新規上場会社の既存株主に対して、どれだけの又どのようなロックアップがかかっているのかもチェックするようにしてください。ロックアップが掛かっていなければ上場後に売却する事ができるので、売り圧力が強くなり、初値上昇を抑える要因になります。
特に上場後に売却してくる可能性が高いベンチャーキャピタルに対するロックアップの内容は、必ずチェックするようにしましょう(ベンチャーキャピタルが存在しない銘柄もあります)。
②吸収金額が少ない
吸収金額とは、上場する株式会社がIPOによって市場から調達する資金額の事を指します。「公開価格×公開株数」で計算する事ができます。
吸収金額がどれくらいになれば人気化するかというと「10億円未満」がおおよその目安となってきます。
吸収金額が少ないIPO銘柄に人気が集まる理由は、基本的にはさきほどの公開株数と同じです。
吸収金額は「公開価格×公開株数」で求められるので、その金額が少ないという事は”公開株数が少ない”という事になります。もちろん、公開価格も影響を与えますが、公開価格はおおむね数百円~5千円の範囲となるので公開株数よりも影響力は小さくなります。
つまり、吸収金額が少ない銘柄は、公開株数が少ない銘柄と同様のロジックで初値が高騰しやすく、人気化しやすくなるんですね。
③強気の価格設定
ここでいう価格とは、上場承認日に公表される「想定価格」とその後のブックビルディング開始前に決定される「仮条件」の事を指しています。そして強気の価格設定とは、想定価格に対して上振れした仮条件の価格帯が設定される事を指します。
たとえば、1,000円の想定価格に対して仮条件が1,100円(下限)~1,300円(上限)と決定される銘柄のように、仮条件の下限が想定価格を超えて設定される事を強気と言います。こうしたIPO銘柄は人気が集まりやすいです。
その理由は、上場承認後に行われる多くの機関投資家に対して行われるロードショー(事業内容等のプレゼンテーション)において、機関投資家からの評価が仮条件設定に反映されるからです。評価にはその銘柄の需要見通しも含まれます。
つまり、強気の仮条件が設定されたという事は、機関投資家から高評価を得たという事になります。個人投資家の需給にも好影響を与えるので、人気が集まり、初値が高騰しやすくなるんですね。
④事業内容が人気の分野
IPOでは、成長が期待できる分野や新規性のある分野を事業内容としている銘柄に人気が集まりやすいです。市場規模が停滞している分野よりも急成長が期待できる分野に投資妙味を感じる投資家が多いんですね。
人気化しやすい分野は以下の通りです。
- 人工知能(AI)
- IT系(Iotやクラウド、セキュリティなど)
- ビッグデータ
これらの分野が人気を集める一方で飲食や不動産などの分野は人気化しにくい傾向があります。
なお、IPOで人気化しやすい分野は、時の流れと伴に変化します。そのため、直近に上場した同分野のIPO銘柄の結果などもチェックして、市場の動向を把握するようにしてくださいね。
実際に初値が高騰したIPO銘柄
2017年~2018年に上場したIPO銘柄の中から初値騰落率TOP5の銘柄をピックアップしました(2018年10月3日時点)。さきほど紹介した人気化する銘柄の特徴と合致している項目は赤文字にしています。
表中の騰落率は初値騰落率の事です。公開価格に対して初値がどれだけ変化したのか、を表しています。また、初値売り利益は1単元(100株)当たりの利益額を表しています。
これらの数字からも分かるように、人気化したIPO銘柄の初値の高騰ぶりはスゴイですね。
さて話を戻して、これらのIPO銘柄が今回紹介した人気化する銘柄の特徴と合致していたのはいくつ有ったのかをまとめてみましょう。
- HEROZ・・・4個(公開株数・吸収金額・仮条件・事業内容)
- トレードワークス・・・3個(公開株数・吸収金額・事業内容)
- アジャイルメディアネットワーク・・・4個(公開株数・吸収金額・仮条件・事業内容)
- ウォンテッドリー・・・3個(公開株数・吸収金額・事業内容)
- ビーブレイクシステム・・・3個(吸収金額・仮条件・事業内容)
このように、3個・4個の特徴が合致していた事が分かります。今後、新たに上場する銘柄が人気化するのか、しないのかをチェックする際は、今回紹介した項目に注目してみてくださいね。
【参考】不人気になるIPO銘柄の特徴もチェックしておこう
不人気になるIPO銘柄は、買い需要が小さくなり、初値が公開価格を下回る公募割れを起こしやすい銘柄となります。そうした事を受けて、ブックビルディングへの参加者も少なくなり、当選しやすいという特徴もあります。
そのため、IPO投資においては不人気銘柄への抽選参加を極力回避していく必要があります。
ではさっそく、不人気となるIPO銘柄の特徴を紹介していきましょう。
- 公開株数が多い銘柄
- 東証1部・2部に上場する銘柄
- 仮条件が弱気の銘柄
- 公開価格が仮条件の上限未満となる銘柄
- 再上場銘柄
こうした特徴を持つIPO銘柄は、公募割れを起こしやすいので人気が集まりにくい傾向があります。詳しくは以下の記事にまとめているので、気になる人はチェックしてみてくださいね。
まとめ
今回は人気が高いIPO銘柄の特徴について紹介しました。こうした銘柄は初値が高騰しやすいので、特徴に合致した銘柄が上場した際は全力でブックビルディングに参加していきましょう。
ただ、人気のある銘柄は、その分抽選参加者も多くなるので当選しにくいのがネックです。少しでも当選確率を上げるために、以下の記事を参考に今のういちから準備をしておきましょう。