(出典:トビラシステムズ)
トビラシステムズの新規上場が決定!上場する市場はマザーズです。吸収金額は18.4億円と中規模のIPO案件となります。主幹事は大和証券です。
なお、トビラシステムズの初値予想は以下の通りです(想定価格は2,040円、仮条件は4月5日に決定)。
それでは、トビラシステムズのIPO情報について見ていきましょう。
トビラシステムズのIPO情報
銘柄 | トビラシステムズ(HPはこちら) |
---|---|
証券コード | 4441 |
上場承認日 | 3月22日 |
上場日 | 4月25日 |
上場市場 | マザーズ |
単位株 | 100株 |
設立年 | 2006年 |
業種 | 情報・通信業 |
事業内容 | モバイル、固定電話及びビジネス向け迷惑情報フィルタシステムの開発及び提供等 |
想定価格 | 2,040円 |
仮条件 | 4月5日決定 |
公開価格 | 4月16日決定 |
公開株数 | 901,600株 |
公募株数 | 95,000株 |
売出株数 | 689,000株 |
オーバーアロットメント | 117,600株 |
吸収金額 | 18.4億円(想定価格ベース) |
発行済株式総数 (上場時) |
3,215,000株 |
時価総額 | 65.6億円(想定価格ベース) |
抽選申込期間 | 4月9日~4月15日 |
幹事証券 | 大和証券【主幹事】 みずほ証券【オススメ】 SMBC日興証券 SBI証券【オススメ】 東海東京証券 いちよし証券 岡三証券 エース証券 マネックス証券【オススメ】 岡三オンライン証券(裏幹事) |
【事業内容】迷惑電話をフィルタリングするセキュリティサービスを提供!
(出典:有価証券届出書「第一部【証券情報】 第3【その他の記載事項】」)
トビラシステムズは、モバイル及び固定電話向けに悪質な迷惑電話や詐欺電話を防止するセキュリティサービスを提供しています。また、ビジネスフォン向けにも同様のサービスを提供しています。
独自技術により迷惑電話番号をフィルタリングし、当該番号からの着信があれば自動的に着信拒否をしたり、「危険」などの警告表示が行われます。オレオレ詐欺やアポ電などの犯罪が横行しているので、同じ電話番号からの被害を防ぐ効果が期待できますね。
(出典:トビラシステムズ「モバイル用サービス」)
モバイル向けのサービスでは、アプリ形式でエンドユーザーに提供しています。ソフトバンクやドコモ、AUなどではオプションパックの1つとして当該フィルタリングサービスが提供されているので、もしかしたら知らず知らずのうちにトビラシステムズのサービスを利用している人もいるかもしれません。
ちなみに、トビラシステムズの主な販売先は以下の通りです。3大キャリアが名を連ねています。
(出典:有価証券届出書「第二部【企業情報】 第2【事業の状況】 3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・キャッシュ・フローの状況の分析】」)
なお、トビラシステムズの迷惑電話フィルタリングが行われた場合の着信画面は以下のようになります(例:ソフトバンクの迷惑電話ブロック)。
(出典:ソフトバンク「迷惑電話ブロックサービス」)
危険な番号である事が事前に分かるのは非常に助かりますね。また、企業名や店舗名が自動で表示されるのも利便性を感じるポイントです。知らない番号からの着信って何かしら不安を感じますからね。
迷惑電話や危険な番号からの着信に対してフィルタリングをかけてくれるサービスは、電話をとっかかりにした犯罪が横行している今の時代にマッチしたサービスと言えます。
IPO的にもセキュリティ系の銘柄は人気化しやすいので、初値高騰に期待が持てる案件となりますね。
では、その他のIPO情報について見ていきましょう。
【株価情報】想定価格は2,040円!仮条件は4月5日に決定!!
想定価格 | 2,040円 |
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仮条件 | 4月5日に決定 |
公開価格 | 4月16日に決定 |
初値(騰落率) | 4月25日以降に決定 |
上場後の株価 | Yahooファイナンス |
想定価格は2,040円。この価格に対して、仮条件がどのように決まるのかが注目ポイントの1つですね。その仮条件が決定するのは4月5日です。
【公開規模】吸収金額は18.4億円!中型規模のIPO!
公開株数 *1 | 901,600株 |
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公募株数 | 95,000株 |
売出株数 | 689,000株 |
オーバーアロットメント *2 | 117,600株 |
吸収金額 *3 | 18.4億円 |
発行済株式総数 (上場時) |
3,215,000株 |
オファリング・レシオ *4 | 28.0% |
公募・売出比率 | 公募:売出=11:89 |
*2 予定の株数
*3 想定価格(2,040円)をベースに計算
*4 オファリング・レシオは「公開株数÷上場時発行済株式総数」で計算した数値
気になるポイントは「吸収金額」と「公募・売出比率」です。
18.4億円(想定価格ベース)はマザーズ銘柄としては中型規模のIPOに分類されます。やや荷もたれ感のあるサイズです。市場の地合によっては初値が思うように伸びない可能性もあります。
また、公募・売出比率が「11:89」と売出株数が多い点も気になります。売出株数が多いほど、初値は伸びにくくなるのでやや注意が必要ですね。
【ロックアップ情報】既存株主のカバー率は100%!
大株主の所有株数とロックアップの状況です。
株主 | 所有株数 | ロックアップ |
---|---|---|
明田 篤 | 1,812,800株 *1 | 90日間又は1.5倍 |
松下 智樹 | 552,800株 | 90日間又は1.5倍 |
後藤 敏仁 | 45,400株 | 90日間又は1.5倍 |
株式会社Kips | 20,000株 | 90日間又は1.5倍 |
従業員持株会 | 20,000株 *2 | 180日間 |
*1 オーバーアロットメントによる売出株数117,600株を含む
*2 親引け予定分(上限20,000株)
上記大株主以外のロックアップも考慮すると、上場日における売り圧力はおおよそ以下のようになります。
■上場日時点の売り圧力
発行済株式総数 (上場承認時) |
3,120,000株 |
---|---|
発行済株式総数 (上場時) |
3,215,000株 |
ロックアップ対象株数 | 2,451,000株 |
上場日時点の売却可能株数 | 881,600株 |
注2:オーバーアロットメントによる売出株数117,600株を「ロックアップ対象株数」「売却可能株数」両方に含めているので、合算した数値は上場時発行済株式総数と一致しません。
既存株主の保有株数2,431,000株(売出放出分考慮後)全てにロックアップが掛かっています。そのため、既存株主による売り圧力はそこまで気にする必要はないでしょう。
ただ、ベンチャーキャピタルは存在しないものの、ロックアップが公開価格の1.5倍で解除される点には注意を払っておきたいですね。
【新株予約権(ストックオプション)の状況】上場日までに権利行使が可能となる株数は0株
発行日 | 対象株数 | 行使価格 | 行使期間 |
---|---|---|---|
2016年2月25日 | 75,000株 | 160円 | 2018年3月17日~ 2026年3月14日 |
2018年2月15日 | 76,700株 | 440円 | 2020年2月15日~ 2028年1月25日 |
2018年11月22日 | 88,900株 | 700円 | 2020年11月22日~ 2028年10月25日 |
2016年2月25日に発行された新株予約権は既に権利行使可能期間が到来していますが、行使条件として「上場する事」が付されているので、上場日以降に権利行使が可能となります。上場日に権利行使をしたとしても、実際に売却ができるのは手続き上数日後となるので、上場日における売り圧力とはなりません。
【主幹事・幹事情報】当選を狙える証券会社はココ!
引受幹事 | 割当株数 | 抽選配分割合 |
---|---|---|
大和証券 (主幹事) |
4月16日に決定 | 15%~25% *1 |
みずほ証券 | 同上 | 10% |
SMBC日興証券 | 同上 | 15% *2 |
SBI証券 | 同上 | 40%~50% *3 |
東海東京証券 | 同上 | 100% *4 |
いちよし証券 | 同上 | 10% |
岡三証券 | 同上 | 100% *4 |
エース証券 | 同上 | ネット抽選なし |
マネックス証券 | 同上 | 100% |
裏幹事 | 岡三オンライン証券 |
*2 完全平等抽選分は10%、ステージ抽選分は5%
*3 資金比例抽選分は28%~35%、IPOチャレンジポイント分は12%~15%
*4 完全平等抽選分は10%、ステージ抽選分は90%
公開株数は901,600株。多くもなく、少なくもなくといった株数ですね。抽選対象株数が多い証券会社なら当選チャンスがあると思いますよ。
では、どの証券会社がオススメなのかというと、やはり主幹事の「大和証券」です。割当株数が圧倒的に多くなるので、トビラシステムズの抽選に参加するなら外せない1社となります。
その次にオススメなのは「マネックス証券」となるでしょうか。完全平等抽選100%なので、割当株数が少なくても、幹事証券の中で1、2を争う抽選対象株数となるでしょう。
そして、オススメ3番手が「SBI証券」です。抽選配分割合がおよそ40%~50%、資金比例抽選分だけでもおよそ28%~35%もあるので、当選を十分に狙える証券会社です。
あとは、みずほ証券・SMBC日興証券という順になるでしょう。
初値上昇が期待できるIPOなので、なるべく多くの幹事証券から抽選に参加したいところですね。
【IPOスケジュール】抽選申込期間・抽選日・購入申込期間
仮条件決定日 | 4月5日 |
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抽選申込期間 | 4月9日~4月15日 |
抽選日 | 4月16日 |
購入申込期間 | 4月18日~4月23日 |
上場日 | 4月25日 |
なお、グッドスピードと同時期に上場します。こちらの銘柄のIPOスケジュールも併せて確認しておきましょう。
【財務・業績】割高?それとも割安?成長性は?
続いて、有価証券届出書において開示されているデータに基づいて、トビラシステムズの財務・業績面について分析をしていきます。
まずは、売上高や当期純利益などの主要な経営指標のデータ及び推移グラフ(一部抜粋)を見てみましょう。
決算期 | 2016年10月 | 2017年10月 | 2018年10月 |
---|---|---|---|
売上高 | 275,460 | 591,984 | 842,458 |
経常利益 | 11,695 | 192,225 | 222,748 |
当期純利益 | 17,298 | 109,416 | 147,942 |
純資産 | 46,865 | 119,722 | 270,864 |
■1株当たりの情報
決算期 | 2016年10月 | 2017年10月 | 2018年10月 |
---|---|---|---|
EPS | 5.17 | 36.36 | 47.75 |
BPS | 3.72 | 37.07 | 86.82 |
配当 | - | - | - |
BPS:1株あたりの純資産(純資産÷発行済株式総数)
なお、2018年1月26日付けで1株を50株に、2019年1月16日付けで1株を100株にする株式分割が行われています。1株あたりの情報については、当該株式分割が2014年10月期期首に行われていたと仮定した数値を記載しています(以下のグラフも同様)。
(出典:有価証券届出書「第一部【証券情報】 第3【その他の記載事項】」)
まずは売上高についてですが、グラフの通り、綺麗に右肩上がりの成長を続けています。特に2017年10月期からの成長は目を見張るものがあります。
そして利益面では、経常利益・当期純利益共に2016年10月期に黒字転換となり、それ以降は売上の伸びにつられるように成長を続けています。このデータを見る限り、トビラシステムズは成長力のある企業と判断できますね。
話は変わって、割高か割安かを判断する指標「PER(株価収益率)」と「PBR(株価純資産倍率)」について見ていきます。想定価格(2,040円)ベースで計算するとそれぞれ以下の通りです(2018年10月期における1株あたり情報を用いて計算)。
- PER:42.72倍
- PBR:23.50倍
各指標の一般的な目安は、PERが「15倍を超えると割高、15倍以下だと割安」、PBRが「1倍を超えると割高、1倍以下だと割安」と言われています。これらの目安に当てはめると、トビラシステムズは「割高」という判断になります。
高成長企業はこれらの数値が割高になる事が多いので、将来の成長を見越しての想定価格設定と考える事ができますね。
では、財務・業績面について「成長性」「収益性」及び「安全性」の3点から分析していきましょう。
収益性
分析項目 | 2017年10月期 | 2018年10月期 |
---|---|---|
売上高総利益率 | 65.4% | 70.0% |
売上高営業利益率 | 32.4% | 27.2% |
売上高経常利益率 | 32.5% | 26.4% |
売上高当期純利益率 | 18.5% | 17.6% |
自己資本当期純利益率 | 131.4% | 75.8% |
トビラシステムズはどの数値を見ても収益性が高い企業である事が分かります。
なお、2017年10月期と比較して、売上高総利益率以外の数値が悪化している理由は、販管費が増加したためです。特に広告宣伝費が27,581千円から103,171千円へと増加しています。
ただ売上高自体はしっかりと成長しているので、販管費が売上獲得に貢献できているみたいですね。
成長性
分析項目 | 2017年10月期 | 2018年10月期 |
---|---|---|
売上高伸び率 | 114.9% | 42.3% |
営業利益伸び率 | – | 19.5% |
経常利益伸び率 | 1,543.7% | 15.9% |
当期純利益伸び率 | 532.5% | 35.2% |
まず売上高伸び率についてですが、2018年10月期は42.3%と大幅な伸びを見せています。また、さきほど見たように、収益性の高い企業ですから、売上高がこれだけ伸びれば利益面の成長も上記表の通り、大きな伸びを見せています。
なお、2017年10月期の各成長率と比較すると鈍化しているように見えますが、これは2016年10月期の各数値が悪かったためです。数値が大きく改善されると、2017年10月期の各伸び率のように異常な数値を叩き出します。そのため、伸び率自体の悪化はあまり気にしなくて良いでしょう。
安全性
分析項目 | 2017年10月期 | 2018年10月期 |
---|---|---|
流動比率 | 198.2% | 221.5% |
固定比率 | 83.3% | 42.1% |
自己資本比率 | 28.9% | 57.7% |
それぞれの指標の一般的な目安は、「流動比率が200%以上で安全」「固定比率が100%未満で安全」「自己資本比率が40%以上で安全」とされています。
この点、トビラシステムズは2017年10月期においてはやや心許ない数値でしたが、2018年10月期にはしっかりと改善され、各数値が安全とされる目安をクリアしています。
これら3つの数値からすると、トビラシステムズは安全性において問題無しと言えるでしょう。
トビラシステムズのIPO初値予想
まずおおまかな所見と述べると、トビラシステムズの初値は「プラス」になると予想しています。
まず初値に関するプラス要素は「事業内容」と「業績・成長性」です。
事業内容は「迷惑電話のフィルタリングサービス」という事で、オレオレ詐欺やアポ電などが世間を騒がせている今、こうした犯罪被害を未然に防ぐサービスにはおのずと注目が集まります。
また、その時流の追い風を受けて、業績も好調。財務面での成長性も高い数値となっています。
2019年のIPOは4月2日時点で20件ほどありましたが、公募割れをしたのは1件だけです。評価されるべき銘柄はしっかりと評価されて、期待どおりの初値を付けています。そうした事から、トビラシステムズの初値もマイナス要素をはねのけてプラスで着地してくれるはずです。
一方、マイナス要素というのが「公開規模」「公募売出比率」及び「同時上場」です。
公開規模は、公開株数が90万株、吸収金額が18.4億円となっており、マザーズ上場銘柄としては中型規模のIPOです。明らかなマイナス要素というわけではありませんが、やや荷もたれ感のあるサイズです。
そして、公募売出比率が「11:89」となっており、売出株数が多い点が気になります。過去の統計からいって、売出株数が多い銘柄は初値が飛びにくい傾向があるためです。
最後が同時上場です。トビラシステムズが上場する4月25日には、グッドスピードも上場します。テーマ的にはトビラシステムズに注目が集まると思いますが、投資資金が分散するのはやはり初値には良くない要素です。
こうした事をトータルで考慮して、IPOタイムズとしての初値予想は以下の通りとしています(想定価格は2,040円、仮条件は4月5日に決定)。
初値のプラス要素 | 初値のマイナス要素 |
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事業内容 | 公開規模がやや大きい |
業績好調 | 売出株数が多い |
成長性○ | 同時上場 |
まとめ
今回は、トビラシステムズのIPO情報についてまとめてみました。
トビラシステムズが行っている事業は、セールスなどの迷惑な電話や詐欺などの危険な電話から利用者を守ってくれる「迷惑電話のフィルタリングサービス」です。
アポ電強盗が世間を騒がせた事を考えると、時事的にも注目が集まりやすいIPOとなるでしょう。
では最後に、トビラシステムズのIPO抽選に参加するにあたってオススメの証券会社を一覧で紹介しておきます。抽選申込を検討している人は参考にしてくださいね。